■米ドル高が進み、米ドル/円も94円台を回復!
みなさん、こんにちは。
2013年に入って、アベノミクス(※)を背景に円安が大きく進行しました。
前コラムでご紹介したように、米ドル/円は2013年2月25日(月)に急落して以来、調整局面に入っていますが、3月7日(木)に再び94円台を一時回復しています。
【参考記事】
●イタリア総選挙で反緊縮派が勢力拡大し、為替相場は大荒れ! 欧州債務危機再燃も(2013年2月28日、西原宏一)
(※編集部注:安倍首相が主張する経済政策の造語)

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
円安材料がひととおり出尽くし、調整局面入りした米ドル/円を再び94円台に押し上げたのは、米ドル高の流れです。
過去のコラムで取り上げた英ポンド/米ドルと、ユーロ/米ドルもじわじわと値を下げています。
【参考記事】
●円の次は英ポンドがターゲットか!? 英ポンド/米ドルは長いレンジを下抜け!(2013年2月21日、西原宏一)

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■NYダウが最高値を更新! 金融危機後の下落分を全戻し!
米ドルの総合的な価値を示すドル・インデックスは、2012年8月以来の高水準に達し、米ドル全面高の展開になっています。
この米ドル高の背景には、まず米国株の続伸があります。
一連の米国経済指標が好調なことに呼応し、米国株は上昇を続けています。
NYダウは連日、最高値を更新しており、2007年の金融危機後の下落分をすべて埋める展開となっています。

(出所:米国FXCM)
2012年までは、米国株の上昇はリスク・オン相場と言われ、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上昇する傾向にあったのですが、2013年に入ってからの相場展開は、「米国経済の回復=米国株の上昇=米ドル高」というシンプルな展開。
リスク・オフという言葉が死語になりつつあり、この傾向が続くのかどうかに注目が集まっています。
■ドラギ総裁とユーロ/米ドル下落リスクの拡大!
米ドル/円が一時94円台を回復し、英ポンド/米ドルは3月7日(木)に1.4969ドルまで下落するなど、米ドル高傾向が鮮明になる中、特に注目なのはユーロ/米ドルです。
今週(3月4日~)のユーロ/米ドルは、上値を徐々に切り下げてきていますが、1.3000ドル近辺で下げ渋っています。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
マーケットが待っているのは、3月7日(木)のECB(欧州中央銀行)による政策金利決定会合後に行われるドラギECB総裁の記者会見です。
多くの中央銀行総裁の中でも、ドラギECB総裁のコメントは影響力絶大であり、2012年の「Believe me(信じてくれ)」発言をきっかけに、ユーロ/米ドルが急反発したことは記憶に新しいところです。
【参考記事】
●ドラギ総裁の「Believe me」は本当か?ユーロの行方はECB理事会の発言次第!(2012年8月2日、西原宏一)
■ユーロの行方はドラギECB総裁の会見次第!
2013年に入ってからも、彼のコメントによりユーロの方向性が大きく左右されるため、3月7日(木)の彼のコメントに注目が集まっているわけです。
まず、政策金利については、据え置きがコンセンサスとなっています(ブルームバーグの市場調査によれば、ECBの利下げ予測をしているのは、61名中5名だけのようです)。
ドラギECB総裁の会見では、ユーロ圏の景気低迷を踏まえ、追加緩和を示唆する可能性が高く、そうなるとユーロ安要因となります。
ただ、イタリア政局の混乱について、彼が「ユーロを守る」という点を強調した場合、一時的にユーロが反発する可能性があるため、短期筋もリスクを落として彼の会見を待っているといったところ。
とはいえ、ドル・インデックスが示すように、全体的な米ドル高の流れの中、ユーロ/米ドルの上値は限定的になる可能性が濃厚でしょう。
一目均衡表の日足でも「三役逆転」(※)しているユーロ/米ドルは、下値を拡大する可能性が高まっています。
(※編集部注:一目均衡表の売りシグナルとなるパターンのこと。転換線が基準線を下抜け+ローソク足が雲を下抜け+遅行線がローソク足を下抜けた状態)
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
何より、3月7日(木)のドラギECB総裁の会見に注目です。
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