■豪ドル/円の軟調な値動きも円安トレンド一服を示唆
もう1つ、前回の記事でも繰り返していたように、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における円安モメンタムをリードしてきた豪ドル/円が、軟調な値動きに留まっていることも、円安モメンタムの低下を示唆し、円安トレンドの一服を示唆する材料として重視している。
【参考記事】
●カギは“アベクロライン”の平行線にあり! 円安局面は外貨売り・円買いのチャンスか(2013年4月19日、陳満咲杜)
4月22日(月)高値が、米テロ事件の15日(月)高値を超えられずにいる豪ドル/円は、円安トレンドに対する修正が継続されていることを証左している。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
そのほかの主要クロス円通貨ペアでは、15日(月)高値をブレイクしたものの、往々にして22日(月)の高値を更新できずにいる状況にあり、昨日(4月25日)大幅上昇し、22日(月)の高値を更新していた英ポンド/円も、11日(木)高値を更新できなければ、いったん頭打ちの可能性が高いとみる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
この意味では、本日(4月26日)クロス円のリード役は、豪ドル/円から英ポンド/円にシフトしていると思う。
予想より好調なGDP(国内総生産)データに支えられ、急速に切り返した英ポンド/米ドルが、なお上昇余地を有することから考えると、クロス円としての英ポンド/円が、本日(4月26日)高値更新できるかどうかは、実に興味深いポイントとなろう。
なぜなら、短期スパンでは英ポンド/米ドルが大幅調整の可能性があまりない中、4月11日(木)高値にわずか9pipsの差しかなかった(4月25日高値で計算)英ポンド/円の高値更新がなければ、米ドル/円は反落するほかないだろうからだ。
■ゴールデンウィーク前は相場がトレンド転換しやすい
ゴールデンウィークを前にして、一般論として相場がトレンド転換しやすい時期でもある。特に円絡みの相場では、ゴールデンウィークが要注意なのが経験則上、決して大げさな話ではない。
仮に円の買戻しがあった場合、円サイドだけでなく、やはり米ドルサイドからも何らかの材料が出てくることを予想しておくべきであろう。
この意味では、今夜発表される米第一四半期のGDPの数字に注目しておきたい。
というのは、米国景気は3月と4月において軟調になる傾向にあるから、今晩の数字はあまり楽観視できず、また失望を招くリスクを念頭におきたいからだ。
材料は値動きの後を追って発生するものだから、テクニカルアナリシスの視点で見る米ドル反落のニーズが高ければ高いほど、こういったファンダメンタルズ上のマイナス材料も意識したいもの。
また、足元堅調なトレンドを示す米株式相場だが、ウォール街の格言「sell in May and go away」(5月に市場が調整する傾向があるという米株式市場の格言)のとおりなら、5月はアノマリー的に弱いシーズンということになる。
アノマリーどおりに動くとは限らないが、やはり、市場センチメントが変化しやすい時期であるだけに、相当な過熱感を示す株式の調整があってもおかしくなかろう。
米国株の堅調がリスクテイクの背景と解釈され、円売りの根拠でもあるから、米国株の調整があれば、円の買い戻しも避けられないだろう。こういった材料の可能性も今からシナリオとして描いておきたいものだ。
■時には大した理由もなく、売りが売りを呼ぶこともある
最近、金の暴落がマーケットの話題となっている。事後的な解釈や分析が多いが、どれも真相を解明しているとは言いがたい。
金の軟調はだいぶ前から予想されていたが、ここまでの暴落は誰も想定していなかったのが実情だ。金相場の波乱から学ぶ教訓があれば、それは他ならぬ、下記のようなものだ。
すなわち、相場における過激な値動きは、時には大した理由もなく、単純に売りが売りを呼ぶといった連鎖で発生するものである。
この意味では、足元、堅調な米国株やアベノミクスに踊る日本株市場や円安相場も、節目に来ているだけに、大した材料がなくても一時大きく崩れるリスクがある。こういったリスクを軽視せず、しっかり対応する心と覚悟が、今だからこそ問われるのではないかと思う。市況は如何に。
(4月26日 PM1:00執筆)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)