■米ドル/円の100円ブレイクには、サプライズが必要
本日(4月26日)は日銀会合なので、市場関係者は再び固唾を呑んで結果を待っている。
前回(4月4日)ほどの緊張感はないものの、100円の大台ブレイクの有無を念頭に、やはり期待と焦りが入り混じった市場センチメントが漂っている。コンセンサスでは、追加緩和措置はないものの、黒田総裁が何らかの言葉で、インフレターゲットの達成に強い自信を示すとみられる。
黒田さんがこれから何を言うかはわからないが、前回のコラムのとおり、米ドル/円にとって高値更新が容易ではないことが今週の値動きに裏付けられており、少なくとも執筆中の現時点では、同じ見方を堅持したい(※)。
(※編集部注:本記事は4月26日の日銀金融政策決定会合発表前の午後1時に執筆された)
【参考記事】
●カギは“アベクロライン”の平行線にあり! 円安局面は外貨売り・円買いのチャンスか(2013年4月19日、陳満咲杜)
100円の大台を、ブレイクできそうでできていない現状の中、やはりよほどのことがない限り、すでにオーバーしている円売りが、さらに膨らんでいくには限界があることが示唆されていると思う。
もっとも、4月22日(月)には、米ドル/円が99.88円まで上昇していた。
その背景として、G20(主要20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)にて日本批判が回避され、アベノミクスに対する理解が声明文の中へ織り込まれていたことが材料として利用されたことが大きかった。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
しかし、わずかではあるが、4月11日(木)高値(99.95円)を更新できなかったことが、同材料自体が過大評価されていたことを示している。
言ってみれば、同材料は単純に事前の懸念を打ち消しただけで、さらなる円売りを押し進めていくには明らかに力不足ということだ。
100円大台のブレイクは、何らかの新しい材料なしでは難しいことを、改めて認識させられているところだ。したがって、本日(4月26日)の黒田総裁の発言は、何らかのサプライズなしでは、新たな円売り材料になったとしても、やはりその効果は限られるのではないかと推測できる。
■反落があった場合、200日線がポイント
では、米ドル/円の反落があった場合、どの水準をもって測ればよいか。
これに関して、今週(4月22日~)のもう1つの材料が、その目安を提供してくれていると思う。
その材料とは、24日(水)未明、AP通信社のツイッターがハッキング被害に逢い、「米ホワイトハウス爆発とオバマ大統領の負傷」といった偽ニュースが流された際の米国株急落につられた米ドル/円の下落レベルである。
実際、執筆中の現時点で、米ドル/円は同レベルをいったん打診している。
(出所:米国FXCM)
上のチャートで示したように、同事件後、米ドル/円は一時急落していたが、200時間移動平均線(200時間線)に支えられたため、これがその後の米ドルの切り返しにつながった。
短期スパンでは、同安値(99.58円)を重要な分水嶺とみなした場合、執筆中の現時点で一時同安値を割り込んでいた米ドル/円の値動きから考えて、やはり反落の可能性を念頭に入れておきたい。
反面、再度200時間線にサポートされ、高値更新が試された場合、それは前述のように、黒田さんから何か新しい材料やサプライズが提示されたことを意味するから、材料次第では100円の大台をブレイクする可能性も否定できずにいる。
この場合、最大101.60円前後までの上昇余地が想定されるが、現時点では、あくまでサプライズシナリオとして扱いたい。
もう1つ、前回の記事でも繰り返していたように…
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