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「ミセス・ワタナベ」のルーツを探れ(2)
なぜ佐藤、鈴木ではなくワタナベなのか?

2013年05月21日(火)14:35公開 (2013年05月21日(火)14:35更新)
ザイFX!編集部

今井雅人は資金5倍トレード達成!米ドル/円の攻めトレードが成功したのには理由があった!

(「「ミセス・ワタナベ」のルーツを探れ(1)実は90年代半ばに英国で生まれた言葉?」からつづく)

■エコノミストに掲載された90年代半ばの時代背景に注目!

 「ミセス・ワタナベ」という言葉が誕生したのは90年代半ばの英国ではないか?

 この仮説に対して、元インターバンク・ディーラーの松崎美子さんが一番はじめに注目されたのは、エコノミスト誌で「ミセス・ワタナベ」という言葉が使用された1990年代半ばの日本の金融業界の状況でした。

 その当時、日本では、「1995年に米ドル/円が70円台に突入し、超円高に苦しんでいた。そこで、少しでも日本の機関投資家に外債投資(つまり円売り)が出るような取引を促進させようと国が動き、投資顧問解禁、年金基金の運用規制撤廃など大幅な金融改革が行われた」のだそうです。

米ル/円 月足

(出所:米国FXCM

 「そして、時を同じくして日本の個人投資家に、外債投資が推奨され、少しでも円売り要因が増えるような施策が進められていた。だから、その当時のエコノミスト誌でミセス・ワタナベという言葉が使われているとすると時代背景からしても納得できる」とのこと。

 実際に当時は、一部の日本の個人投資家の間で外債投資が流行っていたようで、その様子について書かれているのが、前回紹介したエコノミスト誌の記事になります。

参考:エコノミスト誌 1997年頃の記事

 そうした時代背景を聞くと、当時、日本の個人投資家の動向が注目されていたという点については、想像できますね。

■なぜ、スズキでもサトウでもなく「ワタナベ」なの?

 しかし、注目されていたのは良しとして、どうして日本の個人投資家を「ミセス・ワタナベ」と呼んだのか? その疑問は晴れません。

 そもそも、なぜもっと日本で一般的な姓である「タナカ」、「スズキ」、「タカハシ」などではなく、「ワタナベ」という姓が使われたのでしょうか?

 せっかくなので…日本の姓ランキングを見てみると、日本でもっとも多い姓は「サトウ(佐藤)」、次いで「スズキ(鈴木)」、「(タカハシ)高橋」とよく耳にする姓が続きます。「ワタナベ(渡辺)」も上位にランクインしているものの、1位、2位に比べると、そこまで圧倒的に数の多い姓ではありません

(参考資料:名字由来net)

 この疑問に対し、松崎さんは、そもそも論として「英国人は、日本人の代表的な姓なんて、ほとんどの人が知らない」ということを教えてくれました。

 つまり、「サトウ」も「スズキ」も「タカハシ」も、そもそも知らないんですね! となると…ますます「ワタナベ」という姓が広まった理由が気になってきます。

■元祖「ワタナベ」さんは外為法改正の根回しに奔走!?

 続けて松崎さんは、「はっきりしたことはわからないが…」と前置きしつつ、「実は、外為法改正に伴い、主要各国へ根回しのために動いていた当時の財務省担当者の名前が『ワタナベ』だったらしい、という話を何かで読んだことがある」とのこと。

 なに!? 「ワタナベ」!? まさか、その人物が元祖「ミセス・ワタナベ」なのでしょうか!?

 後述のとおり、実際、1998年に外為法は改正されました。国内法ではありますが、きっと世界各国の金融、経済に影響を与える可能性をはらんだ大きな出来事だったのだろうと想像できます。

 1990年代半ばに、財務省の担当者として、「外為法改正のための根回し」という国の経済を左右する大きな役割を担い、各国を走り回った「ワタナベ」さんがいた(らしい)。ちなみに、性別は不明。

 そして、その「ワタナベ」さんが外為法改正の根回しのために東奔西走するうち、本来であれば決して歴史の表舞台に出てくることはないはずだった「姓」だけが、英国をはじめ各国の金融業界に広がっていった

 ──こう考えると(あくまで推測ですが)、日本人の姓なんてまったくと言っていいほど知られていない英国にあって、あえて「ワタナベ」という姓で日本人の個人投資家を呼ぶようになったことに、納得がいきます。

■知られざる英国文化、財布のヒモは夫が握る!?

 ここまでで、「ワタナベ」姓が広まった点については、推測できましたが、財務省にいたと思われる「ワタナベ」さんが「ミスター」だったのか「ミセス」だったのかは不明なままです。

 某有名ドーナツチェーン店も、合鍵作成や靴の修理で有名なあのチェーン店も、さらにはヒット曲を連発するあの人気バンドも、冠に使っている呼称は「ミスター」(これは日本国内の話なので、関係ないかもしれませんが…)。

 本来であれば、個人投資家の呼称も「ミスター・ワタナベ」となりそうなものですが、あえて「ミセス」と呼ばれているのには理由があるはず! この点について松崎さんは、日本では意外と知られていない英国文化を踏まえて、とても興味深い話をしてくれました。

 ちょっと話の本筋からは脱線しますが…「ミセス・ワタナベ」という言葉生誕の地と思われる英国の文化的背景ですので、カンタンに押さえておきましょう。

 まず、大前提として英国では、「この10年(特にリーマンショック以降)で、女性の社会進出が進んだとはいえ、まだまだ『外で働くのは男性、女性は家を守るもの』というイメージを持っている人が多い」とのこと。

 実際に松崎さんが英国で勤めていた銀行のディーリングルームは、圧倒的な男性社会。そこにいた同僚の男性たちは、「家庭において、夫が財布のヒモを握ることに疑問を持つ、ということ自体理解できない」という雰囲気だったそうです。

「英国の家庭では、財布のヒモを握るのは一般的に夫」なのだそう。日本では、財布のヒモを握るのは、妻であるケースが多いようですが(お小遣い制の男性も多いと聞きますし…)、国によって、家庭の財布事情は大きく異なるんですね。

 そんな英国では、日本人女性に対しても、「あまり自己主張せず、社会に出て何かをするというよりは、静かに家を守っているもの」というイメージが強いようです。

 これには、ちょっと驚き! 記者の勝手なイメージでは、欧米各国では日本よりもずっと女性の社会進出が進んでいるのかと思っていましたが…そうでもないようです。むしろ、日本の女性が強い、いや、世界の中でも特に「しっかり者」なのかも(!?) しれません。

■金融大国英国では、株取引が主流

 話を本筋に戻しましょう!

 上述のような男性観、女性観を文化的背景に持つ英国ですが、話を本筋に戻す上でもう1つ押さえておきたいのが、英国のメジャー金融商品が「株取引」であるという点。

 金融大国・英国ならば、きっと株取引、投資信託に限らず、外貨投資やコモディティなどさまざまな金融商品を駆使してバリバリ資産運用をしている人がたくさんいるのだろうとイメージしていましたが、これも記者の勝手な思い込みだったよう…。

 松崎さんは、英国の実情を教えてくれました。

「そもそも英国では、投資といえば外貨よりも株が主流。外貨投資をする人なんて、珍しい」とのこと。現在でもFXはもちろん、資産運用を目的とした外貨預金すらメジャーではないそうです。

 日本では、外貨預金は比較的手を出しやすい金融商品という印象が強いですし、FXについても、今や比較的なじみのある金融商品になりつつありますが…。

 しかも、長年英国に暮らす松崎さんは、この点について「日本の場合は、株取引については男性が多い気がするが、外貨投資については女性のほうが熱心な印象を持っている」とのこと。

 ちなみに英国では、「株取引をするのも男性のほうがより積極的。女性で株取引をバリバリする人は珍しいくらい…。外貨投資をする女性は、もっと珍しい存在」なのだそう。

 どうやらこのあたりに、日本の個人投資家が「ミスター」ではなく、「ミセス・ワタナベ」と呼ばれるようになった秘密が隠されていそうです。

■「ミスター」ではなく、「ミセス」と呼ばれる理由は?

前回の記事でお伝えした「ミセス・ワタナベ」に関するエコノミスト誌の記事が書かれたのは、1997年。そして、さきほどお伝えした財務省関係者だと思われる「ワタナベ」さんが東奔西走していた時期は、1990年代半ば。

【参考記事】
「ミセス・ワタナベ」のルーツを探れ(1) 実は90年代半ばに英国で生まれた言葉?

 そのあたりから、徐々に注目を集めはじめていたようですが、松崎さんによると、「日本の個人投資家の動向が一気に注目を集めるようになったのは、1998年の外為法改正以降」だそう。

 1998年に外為法が改正されると、日本では外貨預金が流行し、日本の個人投資家の外貨需要は一気に高まりを見せました。その資金規模は、マーケット関係者の予想をはるかにしのぐものだったようです。

 当時を振り返って、松崎さんは「とにかく外貨預金のオーダーの数も金額もものすごい。ディーリングルームでは、日本からオーダーがくるたびに、『KIMONO!』『WATANABE!』という単語が飛び交っていた」と回想しています。

 もはや、一種の流行語のようですが…それだけ、インパクトが大きかったということでしょう。

 「当時の同僚たちは、エコノミスト誌の記事で使われていた『ミセス・ワタナベ』や『キモノ・トレーダー』という言葉を見て、日本からのオーダーに対して、そうした呼称を使っていたんでしょうね」とのことですので、「ミセス・ワタナベ」は、英国でディーリングルームの流行語となる前に、エコノミスト誌で使われていた、と考えるほうが自然なようです。

 やはり、最初に「ミセス・ワタナベ」という言葉を使ったのは、英エコノミスト誌なのかも!? (確証はないけれど…)

参考 エコノミスト誌ウェブサイト

 ちなみに、この時の外貨投資といえば、まだFXというよりは外貨預金が一般的。

 先ほど記載したとおり、1998年の外為法改正以降、インターバンクでは、それまで存在しなかった規模のフローが突如として日本から押し寄せ、その中身を見ると個人投資家の外貨預金だった…。

 しかも、その個人投資家のなかには、女性も多数混じっている。

 もともと、「外で働くのは男性、女性は家を守るもの」、そして「投資といえば外貨よりも株が主流」というイメージを持っている人が多い英国にあって、おとなしい印象の日本人女性が「自らの判断で、しかも外貨投資をしている」という事実と、外為法改正によって明らかになった日本の個人資産の規模や投資家の熱心さ。

 この2つは、金融大国・英国にかなりのインパクトを与えたであろうことは、想像できますね。

 だからこそ、「本来であればミスター・ワタナベだったところをあえてミセス・ワタナベと呼ぶようになったのではないか?」と、松崎さんは推測していました。

 この外為法改正直後の衝撃以後、「ミセス・ワタナベ」という言葉は、ますます広まり、一般投資家もよく見聞きする言葉になっていったのではないかと考えられます。

 ざっとまとめると、1990年代当時、財務省にいたと思われる「ワタナベ」さんが、男性だったのか、女性だったのかはわかりませんが…外為法改正の根回しに動いたその人の名前が各国の金融業界に広がり、その後、日本の個人投資家のパワー(特に女性投資家)や資産規模に対する驚きと結びついて、「ミセス・ワタナベ」という造語が生まれたのではないか? というのが、今回調べてみてザイFX!がたどりついた推論です。

■アベノミクスで新世代「ミセス・ワタナベ」が続々誕生?

 1990年代半ばに生まれたと思われる「ミセス・ワタナベ」は、2000年台半ばのFXブーム到来とともに、一躍脚光を浴びました。もちろん、○億円脱税主婦として有名になったイケベさんの存在も大きかったのでしょう。

【参考記事】
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 以降、「ミセス・ワタナベ」は、日本の個人投資家ではなく、日本のFX個人投資家を指す言葉として定着しています。

 リーマンショック以降、マーケットでは極度の円高が進行していましたが、アベノミクス効果で、株高・円安が進むなか、再び脚光を浴び始めた「ミセス・ワタナベ」。

【参考記事】
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 これからもしばらくは、熱い(!?)マーケット展開が続きそうです。もはや誰が一番最初の「ミセス・ワタナベ」なのかは、定かではありませんが、英国が驚いた日本の個人投資家の資金力と熱心さで、これからも多くの「ミセス・ワタナベ」が誕生することになるのではないでしょうか?

 もしかすると、○億円脱税主婦に次いで、英FT誌やエコノミスト誌の表紙を飾る新世代「ミセス・ワタナベ」の登場も近いのかもしれませんよ!

(ザイFX!編集部・向井友代)

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