■ユーロ高が最終段階にあると考える理由とは?
ところで、前回のコラムでも指摘したように、豪ドル/円がずっとリード役を果たしていくかというと、そうではない公算が大きい。
【参考記事】
●日経平均暴落、ドル/円反落をもたらした最大の犯人は?ドル/円調整は深い可能性(2013年5月24日、陳満咲杜)
当然のように、豪ドル/円がいち早くブルトレンドを修正したのは豪ドル/米ドルの急落にあったが、豪ドルは米ドルに対してのみでなく、ユーロに対しても急落したわけだから、全面安の側面が強かった。
ユーロ/豪ドルの日足を見ると、ユーロ/豪ドルの上昇の強さは印象的である。しかし、このブルトレンドもついに最終段階にあると思われる。
相場の動きとRSIの両方に引かれる抵抗ラインがこういった可能性を示唆しているとみる。言い換えれば、ユーロ高は最終段階にあり、ユーロ/円のブルトレンドもそう長くは続かない。
(出所:アイネット証券)
■ユーロ/米ドルは早晩下放れし、安値を更新していく
また当然のように、ユーロ/円がベアトレンドへ展開するなら、ユーロ/米ドルの下げも必要だ。
下のチャートから考えて、ユーロ/米ドルは三尊型(※)のフォーメーションを形成しつつあり、これは早晩下放れし、安値を更新していくと思う。
(※編集部注:「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるために「三尊型」と呼ばれていて、人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼ぶこともある)
(出所:アイネット証券)
この意味でもユーロ/円はこれから豪ドル/円に追随してくる確率が高いとみる。また、中期スパンでは、豪ドル/円よりユーロ/円のほうが円高トレンドをリードしてくるのではないかとみる。
前述の説明は、ラインを引くことに依存している。「こんな簡単なライン1本で結論を出せるものか」といったお叱りも推測できるが、相場というもの、時には複雑な理論よりこういったシンプルなアプローチが効く場合が多い。
その証明材料として、日経225の週足を見てみよう。
(出所:米国FXCM)
抵抗ライン1本で、この間の日経225の天井をうまくとらえていたのではないだろうか。
アベノミクス云々といった複雑な話より、実際にリスクを最小限に抑え、かつ利益を出せるチャンスは、往々にして一番シンプルなテクニカルツールにある、ということの好例であろう。
何? エラそうに言うあなた、実際にこのラインだけで日経225を売ったかって? えっ、いくら儲かったって? それは……はい、ご想像にお任せする!
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