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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米株急落とドル全面安が連動する異変!
これからのキーワードは「成長格差」か

2013年08月16日(金)16:36公開 (2013年08月16日(金)16:36更新)
陳満咲杜

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■ドルインデックスのメインサポートラインは依然有効

 夏相場につき、マーケットは一進一退の変動パターンを保っている。一方、米ドル安のメイン基調も保たれており、ドルインデックスは底割れを回避したものの、なお安値圏での推移に留まっている。

前回のコラムでは、ドルインデックスは2011年8月安値から引かれるメインサポートラインに支持されるはずだと予測していたが、実際、先週(8月5日~)の安値がちょうど同ラインの役割を確認した形となった。

【参考記事】
ユーロ/円は年内に118円台の可能性も! ユーロクロスの異変がユーロ全面安を示唆(2013年8月9日、陳満咲杜)

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 昨日(8月15日)の急落は、再度同ラインを試すように見えるが、結論を先に言えば、現時点での同ライン、なお有効ではないかとみる。要するに、米ドル全面安の基調はそう長く続かないと思う。

■リスク回避で米ドルが買われなかった「異変」

 もっとも昨日(8月15日)、米国株は急落した。それに伴った米ドル/円の反落はいつものパターンで、特に言うことはないが、ユーロ/米ドルの切り返しや英ポンド/米ドルの続伸に見られるように、米ドル全面安の様相は今までの反応パターンと違っていた。

米国株(US30) 1時間足

(出所:米国FXCM

ユーロ/米ドル 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足

英ポンド/米ドル 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足

今までは、「米国株急落=リスク回避=リスク回避先の米ドル買い・円買い」といった変動の構図があった。

 昨日(8月15日)、米国株は1.5%安があったから、米ドルは対円以外の諸外貨に対して買われてもおかしくなかった。これが逆に売られていたことは興味深い現象だ。

 そもそも8月15日の米国株急落は米QE(量的緩和)縮小早期実施の観測が再び高まったことが主因であった。

 最近の雇用・住宅指標は米経済回復が順調であることを物語っている。これがFRB(米連邦準備制度理事会)が9月からQE縮小に着手するといった観測につながり、株安に反応したのはごく普通のパターンだった。

 対照的に、米ドルは対円だけではなく、対ユーロ、対英ポンドでも売られていたのがやはり今までのパターンと違っていた。理屈では、QEの縮小は米ドル買いの要素になる上、前述したように、株安ならリスク回避先として米ドルが買われるのが「筋」であったのにだ。

■これからのキーワードは「成長格差」か

 こういった「異変」を総合的に分析すると、米国株安/米ドル全面安の同時進行は、今までの相場環境の終焉を示唆するサインとして読み取れる。

 言い換えれば、リーマンショック以降、リスクオン/オフが相場の基調を主導してきたが、FRBの政策転換に伴い、このような局面の終焉が近づいていると言える。

 米ドルに関して、リスク回避先としての役割が薄れてきたことで、マーケットは通貨ごと、あるいは資産ごとのファンダメンタルズをより敏感に反映することになった。

 ゆえに、法人税引き下げの有無に連動する米ドル/円、予想より強い経済指標に押し上げられる英ポンドの値動きも当然の成り行きである。

 つまり、これからは「成長格差」がキーワードとなりそうで、昨日(8月15日)の米国株の反落と米ドル全面安の連動は、こういった転換局面における前兆と読み取れる。

■米ドル全面安は続かず、ユーロ/米ドルはトップアウトか

 この見方が正しければ、これからは米ドル全面安の基調、やはり続かない公算が高い。何しろ、リスクオン/オフから成長格差にマーケットのキーワードがチェンジしていけば、もっとも強い回復基調を示す米ドルのほうがより選好される気運にあるからだ。

 FRBが、QE縮小により自信を示せば、経済回復のシグナルと解釈される公算も高いから、米ドルを押し上げる要因となろう。言い換えれば、米ドル全面安の局面は一時的なものに過ぎない可能性が大きい。

 この意味では、前述のように、ドルインデックスがメインサポートラインをこれから割り込み、米ドル全面安が続くというよりも、これがサポートされ、米ドル安局面が修正される確率が大きいとみる。

 対照的に、繰り返し指摘してきたように、ユーロ/米ドルは、やはりすでにトップアウトしたか、これからトップアウトする公算が大きい。

ユーロ/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

 目先、ユーロ/米ドルの切り返しはなお強いと見られるが、先週高値を更新できなければ、「最後のユーロ高」といった位置づけは不変だ。

■米ドル/円は振れ幅が縮小していきそう

米ドル/円に関しては目先、振れ幅が縮小していく可能性に注目したい。従来のトライアングルのレンジ範囲から、以下のように、新たに描かれたトライアングルの範囲に留まるではないかと思う。

米ドル/円 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 円サイドでは、消費税、法人税といった政府の判断に関して、日銀の量的緩和継続の思惑と「第三の矢」の失速に関する思惑の綱引き状態にある。

 その上、米ドル全面安局面が仮に終焉した場合、円よりもユーロのほうが受け皿を果たす可能性が大きいから、ユーロ/円などクロス円経由の円高圧力が存在する以上、米ドル/円の保ち合い相場、しばらく続くと思われる。

 まとめてみると、前週(8月5日~)と同様ドルインデックスの下げ局面はすでに最終段階に来ているといった判断は堅持できる。また、米ドル/円の保ち合い相場を想定しつつ、ユーロ/円の反落は従来の想定よりやや緩やかなスピードに留まる可能性がある。

 そして、通貨ごとのパフォーマンスにシフトしていく相場において、引き続き売られすぎていた豪ドルの相対的優位性に注目しておきたい。

 夏休み中につき、今回のコラムは短文にて失礼する。みなさん、よいバカンスを。

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