■バーナンキ氏の「裏切り」は財政問題決着待ちだった?
さらに今回の場合、かつてと違う特殊要素もある。
すなわち、FRBの決定と米財政問題とがリンクしている関係にあるところだ。
換言すれば、9月FOMCにおけるバーナンキ氏の「裏切り」は、実は米債務上限引き上げ問題の決着を待っているのではないかと思われるところが大きい。
こういったロジックが正しければ、米債務上限引き上げの早期解決の有無が、10月QE縮小の有無を左右するカギとなろう。これがマーケットの動向をはかる上で、重要なヒントとみる。
こういった総合分析を踏まえ、筆者はマーケットがしばらくメイントレンドを出さず、米債務上限問題の決着を待ってから動くのではないかと思う。
しかし、前述のように、決着が出るまでは基本的には米ドル安基調が続くから、ユーロ/米ドルなど主要通貨は、なお高値圏での推移にとどまり、また一段と高値更新を試す可能性もあるだろう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
■安倍首相の「BUY MY ABENOMICS」の真意とは?
米ドル/円の場合は目先ガンガン高値を取っていく勢いはないものの、円サイドの事情も効いているから、底堅さも発揮しつつあるのではないかとみる。
同事情は、安倍首相の「BUY MY ABENOMICS」発言にヒントを得られる。
筆者の知る限り、安倍首相は国内で決して自ら「アベノミクス」という単語は使わなかった。米国にて英語だから言いやすいという側面はあるものの、これは根本的には国際社会に向けての公約、という位置づけで考えればよいのではないだろうか。
そして、何よりも安倍政権の自信の表れではないかと思う。言い換えれば、安倍政権は世界に向け、「もう決断したから、日本買いだ」と公言しているということだ。
では、日本買いにつながる決断とは何かを考えると、答えはおのずと出てくるのではないだろうか。それは他ならぬ、消費税アップとセットの法人税減税、そして構造改革、成長戦略を推進していくこと以外にあるまい。もちろん、TPP参加もしかりだ。
消費税アップや法人税減税は国内では根強い反発があるが、日本株にとってプラス材料であることは間違いない。
なぜなら、日本株を左右するのはいわゆる「ガイジン筋」の売買だからだ。彼らのロジックで考えないとわからない。
このあたりの話はやや複雑なので省略させていただくが、結論だけ申し上げると、消費税増税は財政再建、法人税減税は構造改革の一環としてガイジンたちがとらえているからこそ、日本買いにつながるわけだ。
■米債務上限問題決着まではクロス円が買われやすいだろう
日本株の上昇が円安と連動していくなら、米ドル/円の底堅さにつながる。株高は必ず円安をもたらすとは限らないが、円高への逆戻りを阻止する意味では重要な要素としてとらえられる。
(出所:株マップ.com)
したがって、しばらく米ドル安、円安といった緩やかな状況が続き、米債務上限問題の決着までクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が買われやすいのではないかといった推測ができる。市況はいかに。
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