ユーロドルが際立って高くなってきた。1.36台の後半である。今年の高値は2月につけた1.3710なので、もう射程距離に入っている。これはドル円の動きを見てもわかる通りに、明らかにドル安が原因となっている。アメリカの財政問題がクリアされて、もうちょっとドルの復権があってもよいかなと思われてもいたのに、このドル安。やはり財政問題はどうせなんとかなるくらいに楽観視されていたのだから、その反動でドルが上がるというのも無理な話だったのだろう。
それよりもここ2週間くらいでは米国債の価格上昇が際立っている。つまり利回りの低下だ。9月のFOMCに向かって利回りが上昇し続け、8月末には10年債の利回りは3.0%までつけて驚愕させていたのに、それが2.5%台にまで低下してきている。これはいうまでもなく緩和縮小が遠のいたとする観測が強まったからに他ならない。
9月のFOMCでバーナンキ議長が「もっと雇用回復の証拠」を欲しがったのが第一。雇用に関するデータは遅行指標なので、緩和継続をしたからといってそう簡単には結果に現れない。それで今年一杯の緩和縮小もないな、という観測が浮上した。次にイエレン氏の議長就任である。彼女は雇用問題にかなり神経質な人だから、そう簡単には利上げに転じることはないのはもちろんだが、よりタイトな条件下でしかテイパリングは実行できないだろうという思惑が先立つ。それだけハト派なのだ。
そして最後に今回の政府機関のシャットダウンの影響である。おかげで今月発表分は延期され、22日に出ることになった。そんなに遅れて出てくる数字にはマーケットは関心ないし、実際に出てきても相場は反応しないだろう。だから次の11月発表分に期待が集まるかというと、そうでもない。これすらも1日の金曜日発表は間に合わなくて、8日に延期されることとなった。それだけでも興覚めだが、この11月発表分はシャットダウンの影響もあって、やはり悪いものが出るだろうと予想されている。
だとしたら悪化したデータを見ても、本当はどのくらい悪いのか判断するのに困る。ということは金融マーケットでは額面通りに反応しないということになる。だから関心も薄くなることは避けられない。じゃあ12月発表分は信頼性の高いものになるのかというと、それも怪しい。こういう理屈で12月FOMCでの緩和縮小はなくなったと見る向きは俄然、多くなった。
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