先週の金曜日は雇用統計だった。水曜日に発表された民間調査のADP指数では、就業者数が23万人も増加していたこともあり、期待だけが強まっていた。欧州時間ではドルが上昇。ドル円は105円台を再び回復しており、グローベックスセッションでの米国株も歴史的な最高値をうかがう水準まで上がってきた。ドル円も米国株も昨年来の高値付近まで戻してきた状態での発表となった。
しかしその結果は悪かった。就業者数は軽く20万人を越えてくる増加幅だと見込まれていたのに、たったの7万人台の増加にとどまったのだ。これは大きな失望である。一方の失業率は6.7%となって、これは前回の7.0%よりも大幅に改善したことになる。0.3ポイントというのは、あまりにも大きすぎる改善であるため、即座に労働参加率が悪化しているだけだろうという結論に達した。つまり職を求める人自体が減っているということである。雇用環境としては最悪の状態である。
それを素直に受けて米ドルは全面安に。発表直前にフライイング的なリスクテークが起こったので、105円台で売ろうと考えていたのだが、うまい具合に105.15で売れた。これは今年の高値である105.44をバックにショート攻めしようとしたもの。つまりそこをレジスタンスと想定したテクニカル面からの売りなので、別にここでドル高がストップするとは思っていない。ただし雇用の結果が想定外だったら、その反動は大きいだろうとする思惑からのポジショニングである。
ドル円は104円台の前半まで下落。でもその後は104.20から104.60あたりを往復するような感じ。これでテイパリングのペースが鈍るのではないかとの観測が強くなり、これで米国株がいまいち下げ切らない。リスク回避からの支援もないので、ちょっとドル円やユーロ円は下げ渋りといったところである。
米国株がオープンすると、その時点から米国株は反落へと向かった。ドル円も下がり出したが、先ほどの突っ込み安値が104.20当たりだったので、その手前で利食い。104.26で買い戻すことはできたが、そのまま140円台割れとなり、今年の安値であった103.92を下回ってくる局面もあった。QE3の資産購入の対象である米国債は買い戻され、10年ものの利回りは2.89%台まで急低下。ドル保有の魅力が薄れたためである。
今週もリスクの調整が続く展開で週明けを迎えた。ドル円はアジア時間の午前のうちに金曜の安値もブレークして103円台前半まで下落。欧州市場に入ってからは欧州株が底堅いこともあって、ドル円もその辺り踏み止まっている。リスク調整の動きがどこまでなのかを図るためにも重要な週となる。また米企業決算も本格化するので、ミクロ要因ではあるが、一喜一憂する展開になりそうだ。
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