■米FRBでイエレン体制発足! 初の議会証言の内容は?
米国では、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長が2014年1月末に引退し、2月からイエレン新FRB議長体制が発足しました。
2月11日(火)に、就任後初めて議会証言に臨みましたが、証言の骨子は以下のとおりでした。
・ 雇用改善と物価安定が進めば、量的緩和の縮小を一定規模で継続する
・ 相当長期間、超低金利などの極めて緩和的な政策を維持する
・ バーナンキ前議長の経済強化策と金融政策の透明化を継続する
・ 直近の国際金融市場の変動は注視しているが現時点では米経済の実質的リスクではない
・ 米経済と雇用については、今年と来年は緩やかに拡大する
・ 労働市場は完全な回復からほど遠い
全体感としては、これまでの方針をそのまま維持するというメッセージになっています。バーナンキ前FRB議長とも事前に連携していたということでしょう。
■新興国の混乱は落ち着いたように見えるが…
ある程度、政策が予定どおり行われることが予想されていれば、実際にテーパリング(※)が継続して実施されたとしても、大きな動揺はないかもしれません。
ただ、新興国の問題は解決されているわけではありません。
新興国の混乱は、いったんは落ち着いたように見えます。
トルコリラや南アフリカランドなどは一時期大幅に下落しましたが、その後は反発して、1月中旬の水準に戻ってきています。しかし、2013年12月に下落した分までは回復していません。
(※ 編集部注:「テーパリング」とは、米量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
(出所:CQG)
また、状況は何も変わっていないことを忘れてはなりません。
アルゼンチン、ブラジル、インド、南アフリカ、トルコなど経常収支が大幅に悪化している国々は、今後も投機家のターゲットにされるリスクをはらんでいます。
今後も気を抜いてはいけないと思っています。
【参考記事】
●「フラジャイル・ファイブ」に要注意! ドル/円上昇に日本株の再上昇は不可欠!(2014年2月6日、西原宏一)
■米国は向こう1年間デフォルト騒ぎから逃れた
米国政府のもう1つの問題は、財政赤字問題です。
米議会下院は2月11日(火)、連邦政府が2015年3月15日まで必要なだけ借金できるよう債務上限を引き上げる法案を可決しました。
上院でも2月12日(水)に可決しています。これで、1年間はデフォルト騒ぎから逃れられたということは市場にとって好材料でしょう。
■中国のシャドーバンキング問題には注意が必要
一方、中国では不安な動きも出ています。
中国紙の報道によると、集めた資金を山西省の石炭会社に投資していた金融商品が、2月7日(金)の満期を過ぎているにもかかわらず、償還されていません。
いわゆるシャドーバンキングの一種です。
金額にすると日本円換算で約50億円となります。事実関係もはっきりしないし、今後の展開についても、まだよくわからないので、大きな問題にはならないかもしれません。
しかし、シャドーバンキングに関しては、以前から懸念材料視されていたもので、今後の展開には注目をしておく必要があるでしょう。
■オーストラリアの新規雇用者数は予想外の減少
欧州でも景気指標が落ち込んでいて、ECB(欧州中央銀行)、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])なども当面は現行の緩和的な金融政策を維持するでしょう。
また、オーストラリアは2月13日(木)に発表された1月の新規雇用者数が1万5000人の増加という市場予想であったにもかかわらず、逆に3700人の減少となってしまいました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 1時間足)
良い材料と悪い材料が入り混じっているため、市場は不安定な動きになってくる可能性が高いと思っています。
日経平均も、一時1万4000円を下回った後…
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