■RSIのシグナルからユーロ/米ドルの下落を予測
ところで、円高の進行は、ユーロ/円などクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下値打診なしではモメンタムが限定され、ユーロ/円の動向は、ユーロ/米ドル次第といった話は、前回のコラムで述べたとおり。
【参考記事】
●「ドラギ・ショック」再現の可能性大!ウサギちゃんのGPIFに改革は難しい!(2014年4月18日、陳満咲杜)
前回のコラムでは、ユーロの頭打ち、至って反落の可能性をファンダメンタルズの視点をもってみてきたが、今回はテクニカルの視点をもって測りたい。
(出所:米国FXCM)
ユーロ/米ドルの週足では、RSIの弱気ダイバージェンスが昨年(2013年)10月後半から構築され、現在まで続き、煮詰まりつつある状況が一目瞭然である。
この弱気シグナルが効いてくるかどうは、これからRSIが50のレベルを割り込むかどうかによって測れることは、以前本コラムで日経平均と米ドル/円の例をもって説明したが、その前兆についても触れておきたい。
【参考記事】
●米国株バブル崩壊のシグナル点灯!日本株は暴落か。ドル/円は100円割れへ(2014年4月11日、陳満咲杜)
経験上、RSIのシグナルと一番相性が良いのは、値動きのフォーメーションである。言い換えれば、反落の確率が高いフォーメーションが形成されると同時に、RSIも弱気シグナルを点灯すれば、反落の可能性が高いわけだ。
上のチャートを見る限り、ユーロ/米ドルは大型上昇ウェッジというフォーメーションを形成しており、今はその最終段階にあることがわかる。ウェッジ型が示す方向は、確率的には名前と逆方向なので(つまり、上昇ウェッジなら下、下落ウェッジなら上)、ユーロ/米ドルは上昇より下落の公算が大きいとみる。
■ユーロ/米ドル、ユーロ/円とも上放れは「売りの好機」
ただし、前述の大型上昇ウェッジの抵抗ラインを見る限り、反落的な下落前に、再度1.4ドルの節目を試す場合もあり得る。しかし、それがあっても、ユーロ高の最終局面といった判断は不変で、高値打診があれば、むしろ絶好の売り場と見なされる。
したがって、現在ユーロ/円が示すトライアングル型フォーメーションに関して、巷では上放れの観測が多いなか、筆者は前述の理由から上放れより下放れの可能性が高いとみる。
(出所:米国FXCM)
下放れがあれば、2013年1月から構築されてきたRSIの弱気ダイバージェンスがいよいよ効いてくるわけで、再度10円程度の値幅を覚悟すべきではないか。
もちろん、ユーロ/米ドルの1.4ドルの節目打診が再度あれば、ユーロ/円もいくぶん上放れの余地を拓く見通しだが、それでも2013年年末高値の更新は難しいと思う。
ユーロ/米ドルと同様、一時的な上放れがあれば、2014年内最後の売り好機とみる。市況はいかに。
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