■米10年債利回り低下! 市場は気迷いムードか
昨日、5月28日(水)のNY市場では、米10年債利回り(米長期金利)が一時2.4325%まで急低下しました。
(CQG)
米マクロファンド勢の米国債ショートポジションの巻戻しが一巡したこともあり、このところ2.5%台で落着きを取戻したかに見えた米債市場でしたが、目立った米指標などの発表がないなかでの金利低下を受けて、市場は気迷いムードを隠せないでいます。
■量的緩和終了後の利上げ開始時期に注目集まる
先に公表されたFOMC議事要旨(4月29~30日分)では「金融政策正常化についての議論があった」ことが判明しています。
FOMC(米連邦公開市場委員会)内でのキーパーソンであるダドリーNY連銀総裁も講演で、「出口戦略に関しては利上げした後も保有債券の再投資を続けるべきである」と言及しているように、「金融政策正常化」とはすなわち、「今後の金利引上げとFRB(米連邦準備制度理事会)保有債券の取扱い方」の具体的方法に他なりません。
現在、毎月100億ドルずつテーパリングしているQE3としての資産買取りは、よほどのことが起きない限り、2014年秋口には終了する予定ですが、議論の的は、この量的緩和の終了後にどのくらいの期間をあけて利上げを開始するのかということに集まっています。
■MBS再投資期間を予想する3つのパターン
そして、見逃してはならないのが、資産買取りと同時に行われているMBS(資産担保証券)の満期分の再投資です。この再投資をいつまで続けるかも重要な金融政策となってきます。
もっともタカ派的な意見としては、「QE3終了と同時に終わる」パターン。そして次が、現在、市場の大方の認識となっている「利上げと同時に終了させる」パターン。そしてダドリーNY連銀総裁が言及した「利上げ後もしばらく継続する」というもっともハト派のパターンに分類できます。
市場からみれば、利上げ後も再投資を続ける可能性が出てきたことで、自身の債券ポートフォリオのデュレーション(※)を長期化させる必要に迫られているわけで、この動きも米長期金利の低下を促していると言えるでしょう。
(※編集部注:「デュレーション」とは、債券に投資した資金の平均回収期間のこと)
■米ドル/円が2014年安値を下抜けなかった理由は?
さて、為替市場ですが、米ドル/円は5月21日(水)の黒田日銀総裁の定例記者会見を受けて、一時100.805円まで売りを仕掛ける動きがみられましたが、2014年の安値である2月4日(火)の100.755円を下抜けることができずに、買戻しの動きが強まっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
市場では、「21日(水)の夜間取引での日経平均先物が、さほど下落することなくしっかりと1万4000円台を回復してきたことが大きかった」との声も聞かれており、この株価の底堅さが米ドル/円の買戻しにも一役買っているようです。
市場では「明らかに先週末(5月22日~23日ごろ)から相場付きが微妙に変わってきている」との感触を持つ向きも多く、仕掛けても下がらない相場が意識されています。
そんななか、一部の市場関係者からは…
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