■極端な変動率低下と官制相場の終焉が問題の本質
では、本質はどこにあるか。筆者の立場からみれば、以下の2点がもっとも重要ではないかと思う。すなわち、(1)極端な変動率低下がはらむ波乱の可能性、そして、(2)官制材料と官制相場の終焉、だ。
(1)に関しては、前回のコラムで申し上げたとおりである。
【参考記事】
●恐怖指数が極限まで低下している恐怖!「オオカミは近くに来ている」と再度宣言!(2014年6月20日、陳満咲杜)
(2)に関しては、成長戦略待ちに加え、公的資金の相場下支え観測が最も大きな官制材料となり、こういった材料によって日経平均は1万5400円台まで押し上げられてきたわけだ。
ただし、こういった官制材料の剥落で、官制相場もすでに終わったか、これから終焉に向かうだろう。
■○○ショックは2014年内に起こる可能性大!
たびたび指摘してきたように、日経平均のリバウンドは、外部要素に依存しているところが大きい。アルゼンチンやら、イラク情勢やら、こういった「こじつけ材料」が本当にマーケットに効くかどうかは、欧米市場のパフォーマンス次第だ。
前回のコラムにて指摘したように、変動率が歴史的な極限に近づいているだけに、本質的ではない「こじつけ材料」でもマーケットの反転を引き起こす可能性が十分あるから、気をつけたい。
【参考記事】
●恐怖指数が極限まで低下している恐怖!「オオカミは近くに来ている」と再度宣言!(2014年6月20日、陳満咲杜)
2008年の「リーマンショック」も、本当はリーマンブラザーズのせいではないが、リーマンショックと呼ばれてきたのと同様に、あとからみると、2014年年内発生可能性の大きい「〇〇ショック」の名称も本質を表さない公算が高い。
■円高傾向は継続、高金利通貨が売られる可能性も
株式評論家と誤解されるのもあれだから、為替の話に戻る。現在のマーケットで、一番わかりやすいのは米ドル/円で、円高傾向が続くとみる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
その次はユーロ/米ドルで、現在リバウンドが続いているが、上値余地は限定的で、早晩ベア(下落)トレンドを再開するだろう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ゆえに、ユーロ/円も上値余地が限定され、早晩136円の大台を割り込むのではないかとみる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
そのほかのメイン通貨ペアは、利上げ観測にもかかわらず、英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルともに高値更新があれば、逆に要注意だ。
なぜなら、極限の水準まで高まってきたリスクオンがいったんリスクオフに転換してくれば、利上げ観測自体も吹っ飛ばされるので、ドルインデックスの上昇と共に、過剰な期待が寄せられるこれらの「高金利通貨」がかえって激しく売られる可能性がある。
したがって、英ポンド/円にしても、豪ドル/円にしても、再度ベアトレンドへ復帰するのも時間の問題だと思う。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
■W杯中は相場が動かないというのが通念だが…
このような話を公の場で話すと、「ハイハイ、わかったよ、オオカミ中年、でも今はワールドカップ(W杯)なので、相場が動かないではないか、W杯が終わったあとにしてくれ」といったヤジが飛んでくるかもしれない(最近、ヤジの問題がマスコミの紙面に躍っているから、妄想してみた)。
しかし、油断してはならない。なぜなら、ある研究によれば、W杯中は総じてボラティリティーの低下傾向が見られたが、開催前にすでに低下していた場合は逆に開催中一転して高まる傾向になるという。今年は明らかに後者だ。
最後に、最近(6月25日)作った米ドル/円の予測チャートを掲載しておきたい。
(出所:米国FXCM)
ただし、このチャートはむしろ、W杯まで変動率があまり拡大しないという前提で作らたことを念頭において参考にしていただきたい。市況は如何に。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)