■米ドル/円がまだレンジを打破していないとする理由とは?
具体的なアナリシスに関して、筆者が8月27日(水)に作成したレポートが、簡単であるがわかりやすいのではないかと思い、参考として開示しておきたい。本文は以下のとおり。
(出所:米国FXCM)
本日のチャート ドル/円 円高は終わったか?
ドル/円は104関門の打診をもって2月安値を起点とした変動レンジの打破を図ろうとする様子を見せている。これを受け、巷では円高調整が終了し、円安トレンドへ復帰したといった論調が主流となり、円安トレンドの再開に強い期待が寄せられている。
しかし、日足のカウントを再点検しているところ、このような期待が再度裏切られる可能性は寧ろ大きいと思う。何しろ、目先の切り返し、なお調整波の範囲に留まる公算が高く、性急な判断は禁物である。
上のチャートが示すように、年初来高値からの下落、2月安値100.75をもって一段落し、同安値を起点としたジグザグ変動を調整波の一環と捉える。100.75からの値動き、大型ジグザグ変動パターンと見做した場合、5月安値100.82からの切り返し、同ジグザグ変動における子波C(緑)と数えられ、同じ序列における子波A(緑、2月安値~4月高値)と同じ値幅なら、104.20前後のターゲットを示し、8月25日高値の104.25と整合的で、調整波の範囲に留まっていることを示唆。
従って、目先の切り返しをもって円高調整の終焉を判断するには性急であり、また円高調整が続く場合、目下だからこそドル/円のショートを仕掛ける好機だと見る。その上、巷では円安期待感が強い以上、目下の位置付け、一旦証左されると、より強い調整、つまり円高トレンドへのシフトも覚悟しておきたい。
■米ドル/円は99円台半ば~97円台前半まで下落の可能性も
ちなみに、仮に前述の見方が正しければ、米ドル/円の切り返しが104円台前半で終了し、これから円高トレンドへ復帰した場合、2014年年初来高値から2月末安値までの値幅で測ると、99.55-60円前後の下値ターゲットが得られる。
さらに、100.75円~104.25円に拡大されたレンジの値幅と見なした場合、このレンジの下放れが確認される場合、「倍返し」の計算では97円台前半まで下値余地が拡がる。
(出所:米国FXCM)
したがって、米ドル/円が早期高値更新を果たし、強い上昇波を展開して前述のレポートの間違いを証明してくれないと、巷の期待を大きく裏切る形で、むしろこれから円高のスピードが加速していく可能性がある。
その上、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の動向も大きなポイントとなるが、今回は書き切れないので、また次回に譲る。市況はいかに。
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