そうなると、「スコティッシュポンド」のような新通貨を作るか、もしくはユーロ加盟で通貨ユーロを使うということも選択肢になってくるのかもしれないが、後者についてはサモンド党首がそれを否定しており、独立したとしても通貨問題が重くのしかかってきそうだ。
■英国は北海油田の権益のほとんどを失う可能性も…
次に英国への影響だが、注目したいのが、英国が「北海油田」の権益を失うことによる歳入の減少だ。先ほど紹介したように、北海油田はスコットランドの領海の「9割」を占めることから、英国はそのほとんどを失う可能性があるのだ。
そうなると、英国は原油の輸出が減少する一方で、輸入が増えることになり、経常収支や貿易収支の一段の悪化が、英国経済に悪影響を与える可能性があるということだ。これは、英ポンドにとってもネガティブな材料となり、売り圧力がかかることになるだろう。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:欧州主要経済指標の推移)
そのほか、英国経済の規模縮小や、スコットランドのクライド海軍基地にある原子力潜水艦を英国に移転するだけでもかなりの費用がかかることから、英国財政への悪影響を懸念する声もある。
■スコットランド独立なら、英ポンドは10%下落するとの見方も
為替市場では、最初に紹介したスコットランド独立に関する世論調査で独立賛成派(51%)が反対派(49%)を初めて上回ったことを受けて、英ポンドが急落している。
9月18日(木)に実施される住民投票の結果次第ではあるが、仮にスコットランドの独立が可決された場合、これまで説明してきたように、英国経済に大きな悪影響をもたらしそうなことから、英ポンドにとっては売り圧力がかかるのではないか。
外資系の金融機関の中には、独立が可決されれば英ポンドが10%程度下落すると見込む向きもある。もちろん、独立が否決されれば、英ポンドは大きく売られている分、買い戻しが入ることになるかもしれない。
このように、スコットランドの独立に関する住民投票の可否が与える影響は計り知れず、英国経済や英ポンドの今後を占う上で、重要なターニングポイントになりそうだ。
【英ポンド/円のスプレッドが狭いFX会社についての参考記事】
●スコットランド独立の住民投票が迫る中、英ポンド/円1.0銭原則固定を恒常化!
(ザイFX!編集部・庄司正高)
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