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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

円安はいよいよクライマックス間近?
アベノミクスの限界が露呈し始めている

2014年09月12日(金)16:24公開 (2014年09月12日(金)16:24更新)
陳満咲杜

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■「アベノミクス円安第二弾」はもう織り込みずみか

 「ダイバージェンス」はもう1つ、米ドル/円のクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)との相違からも測れる。クロス円といえばユーロ/円が代表的な存在なので、ユーロ/円を見てみよう。アベノミクスが始まって以降、2013年年末までは、米ドル/円との連動性もかなり高いことがわかる。 

米ドル/円VSユーロ/円 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 「ユーロ/米ドルがこんなに下げているから、ユーロ/円が米ドル/円についていかなくなっているのは当然だし、何が問題なのか」といった反論も容易に推測できるが、強調しておきたいのは2013年年末・2014年年始までの円安と違って、目先の米ドル/円における円安進行はほぼ独歩的で、整合性を保っていないところだ。

 換言すれば、巷でささやかれる「アベノミクス円安第二弾」は、あっても現在の米ドル/円のレートに織り込まれており、なかなか再来しにくいのではとみる。

 黒田日銀総裁は最近、また量的緩和の可能性をほのめかしており、安倍内閣も大型財政出動を検討していると聞く。

 しかし、やや独断的にいうと、これは本質的にはすべて次回消費税増税への道づくりで、従来のアベノミクスとは異なる性質を持つものだから、マーケットには本格的な影響を及ぼせないとみる。

 第2四半期GDPの再度下方修正に見られるように、アベノミクス第二弾どころか、「アベノミクス第一弾」自体の限界がそろそろ露呈し始めているから、これはいずれマーケットに検証され、また、その結果が織り込まれていくだろう。

■外部要素の悪化をマーケットが織り込み始めた

 より大事なのは、本コラムがたびたび強調してきたように、アベノミクスが実質的には一本の矢(日銀量的緩和)しかなく、また、成功したところがあれば、外部要素の良さに恵まれてきたところが大きいということだ。

 前述のように、2013年年末~2014年年始ごろまで、米ドル/円と日経平均、そして、米ドル/円とユーロ/円が高い連動性を示してきたのはまさにその象徴であり、こういった連動が崩れている現在は、外部要素の悪化をマーケットが織り込み始めたと言えるだろう。

 為替マーケットにおいては、外部要素の悪化はまず、ユーロと英ポンドの大幅反落に表れているだろう。 

ユーロ/米ドル 日足

(出所:米国FXCM) 

英ポンド/米ドル

(出所:米国FXCM

 ユーロ安の根本にはEU(欧州連合)圏のデフレ懸念があり、英ポンド安の背景にはスコットランド独立問題やEU離脱の有無といった懸念がある。

  そして遅れた形で、商品相場の総崩れとあいまって、豪ドルのリバウンドも終了し、これから安値トライをしていくとみる。

 言い換えれば、目先の米ドル高は、必ずしも米サイドのファンダメンタルズの良さに起因しているとは限らず、外貨サイドのファンダメンタルズの悪化が大きな原因となっている。外貨安の受け皿として必然的に米ドル買いにつながっているから、従来のようなリスクオン一辺倒の状況とかなり異なっているのだ。

 こういった状況の中、はたして円安がこれ以上進むかというと、筆者はかなり懐疑的で、おのずと限界に来ているのではないかと思う、はたして市況はいかに。

(14:00執筆)

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