■ドルインデックスはいったんスピード調整に入りそう
米ドル全面高がさらに進んでおり、また「いいところ」まできている。「いいところ」とは、前回のコラムで記したように、チャート上の重要ポイントに差しかかっている、ということである。
【参考記事】
●約40%上昇! 史上最大の上昇周期にある米ドル/円はすでに目標達成感たっぷり(2014年9月19日、陳満咲杜)
(出所:米国FXCM)
前回も提示したドルインデックスの月足では、足元では2005年高値から引かれるレジスタンスラインの打診が確認できる。
同レジスタンスラインを本格的に上回っていくと、米ドル高は新たな段階に入り、加速していくことも既述のとおりだ。
ただし、このままブレイクしていくよりも、いったんスピード調整(すなわち反落)してから再チャンレンジの公算が大きいので、目先、米ドルの高値追いは、やはり避けたい。
この見方は日足で、より鮮明に確認されるだろう。
(出所:米国FXCM)
2012年高値と2013年高値を連結したメインレジスタンスラインに一直線に打診しようとするドルインデックスは、過熱感が強く、RSIのフォーメーションや弱気ダイバージェンスは近々の頭打ちを示唆しているように読み取れる。
■ユーロ/米ドルはメインサポートラインにトライ
相応するように、ユーロ/米ドルもメインサポートラインにトライしており、RSIが示すリバーサルシグナルを一段と強化している。
(出所:米国FXCM)
注意すべきなのは、RSIの数値で見るとわかるように、ユーロの「売られすぎ」は、実は2012年夏場の時期よりはるかに深刻ということだ。あの時は世が言う「ギリシャ危機」や「ユーロ崩壊」の時期だったことから考えると、目下のユーロ安がいかにオーバーしているかがわかる。
再度強調しておきたいが、メイントレンドのユーロ安に関して、見方はまったく変わっていないが、猫も杓子もユーロ安を必然視している現状では、ユーロが近々底打ちし、2014年7月以来、もっとも大きなリバウンドを展開してもおかしくなかろう。
むろん、2014年7月初頭以来、ユーロはほぼ一直線に急落し、リバウンドらしいリバウンドがほぼなかったから、大きなリバウンドと言ってもたいした値幅にならないかもしれない。
ただし、そうはいっても目先、ユーロの安値追いは得策ではなく、戻り売りスタンスで臨むなら、戻り待ちしたほうが賢明であろう。
■米ドル/円は年内いっぱい反落も?
そして、肝心の米ドル/円は前回の指摘と同様、メインレジスタンスゾーンをトライしているが、「史上最大」のオーバーボートに達しており、近々頭打ちを果たすだろう。
(出所:米国FXCM)
もっとも、2011年安値を起点とした上昇波はかなり延長してきた分、いったん頭打ちとなれば、調整波(すなわち反落)も延長されがちになるはずで、少なくとも2014年年内一杯までの調整期間を覚悟しておくべきか。
また、仮に短い調整期間で終わる場合、これこそ激しい値幅を伴うはず。この場合、何らかのファンダメンタルズ的なサプライズの発生も推測されるから、油断はできない。
■ユーロ/円はすでに頭打ちを果たした公算大
筆者の見方が正しければ、ユーロ/円などクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の動向からヒントを得られるかもしれない。
何しろ、ユーロ/円は9月19日(金)に141.22円の高値をトライしたが、同日の上ヒゲ陰線をもって、リバウンドがすでに終了した可能性が示唆されており、円売りモメンタムの欠如が暗示されている。
(出所:米国FXCM)
執筆中の現時点で、米ドル/円は9月19日(金)高値の109.45円を更新しておらず、ドルインデックスとの連動性が薄れている。
その背景には、やはりクロス円の軟調が大きな圧迫要因になっているのではないかと推測される。ユーロ円を始めとしたクロス円の頭打ちの有無は大きな示唆に富んでいるとみる。
前述のように、値幅はともかく、ユーロ/米ドルが近々買い戻される余地があるなら、ユーロ/円もいくぶん戻りの余地を拡大するだろう。
しかし、戻り切れない場合、間違いなく米ドル/円の頭の重さを暗示するサインと化すだろう。これが短期スパンではもっとも注意されるポイントだと思う。
このような見方は、豪ドル/円にも適用されるだろう。豪ドル/米ドルはユーロ/米ドルと同様、メイントレンドの下落は続いていくが、目先オーバーシュートしており、いくぶん修正の余地ありといったところだ。
■英ポンド/円もすでに頭打ち、今後は大きく反落か
ところで、スコットランド独立問題で「塞翁が馬」となった英ポンド/円は高値を更新していたから、これは円売りモメンタムの強さの象徴的な存在だった。しかし、9月19日(金)のチャートから考えると、やはりすでに頭打ちしていた公算が大きい。
(出所:米国FXCM)
チャートが示すように、9月19日(金)の高値は、2011年9月安値116.76円を起点とした大型上昇波の最高値を記録したが、同日大きく反落。「上ヒゲ」だけでもほぼ2円の値幅を記録し、究極のリバーサルシグナルと化していた。このシグナルが否定されない限り、英ポンド/円はこれから大型反落波を推進していくだろう。
■英ポンド/米ドルのスピード調整はすでに行われた公算大
さらに、米ドル全体の過熱感は、実は英ポンド/米ドルのみにおいては、あまり感じられない。
スコットランド独立投票の騒ぎで、直近になって独立回避できる観測が高まり、いわゆる「うわさの買い」(ここでは買戻しのほうがより正確な表現か)が起こっていたわけで、英ポンド/米ドルのスピード調整は、すでに行われた公算が大きいのだ。
(出所:米国FXCM)
ゆえに、これから英ポンド/米ドルは「事実の売り」で安値を再トライするのではないだろうか。この見方が正しければ、相対的に英ポンドに対して売られてきたユーロや豪ドルもいくぶん反騰の余地を拡大するだろう。
■来週からマーケットは大きな転換期に?
まとめてみると、来週(9月29日~)からマーケットが大きな転換期に差し掛かる公算が大きいので、注意が必要だ。
そして、円安クライマックスも最終段階に入り、来週(9月29日~)、これが一段と検証されるだろう。
なにしろ、前回記したように、2011年安値を起点とした今回の円安は、事実上「史上最大」の周期を有しているから、おのずと限界ありと考えられる。
【参考記事】
●約40%上昇! 史上最大の上昇周期にある米ドル/円はすでに目標達成感たっぷり(2014年9月19日、陳満咲杜)
今回文字数の関係があり、「史上最大」かどうかに関する検証は、また次回に譲りたい。市況は如何に。
(PM2:00執筆)
※来週(10月3日)は海外出張のため、コラムを1回休ませていただきます。ご了承ください。
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