■現在の反落は異変でも急変でもなく、当然の結果
次のチャートで示しているように、1995年安値も16~17年サイクルのボトムに当たるが、この安値から1997年4月高値までの上昇幅は、先のサイクルのトップからボトムまでの値幅に対して25%の反騰しかない。
一方、1998年高値から2011年安値の下落幅に対する今回の上昇幅は、47%を超えており、その急騰ぶりは比較にならないほど大きい。
(出所:米国FXCM)
こういった比較を通して、今回の上昇波がいかに行きすぎで、また過激だったか、そして、こういった行きすぎは長く続かず、いずれ修正される運命にあるということがわかるだろう。だから、目下の反落は「異変」でも「急変」でもなく、当然の結果であり、またこれからも続いていくだろう。
しかし、単純に円売りがオーバーしただけで、巷でいかに円安自体が正当化されていたかを思い出すと、マーケットにおける俗論に流されないのは難しいことなのかもしれない。相場の怖さと醍醐味が共存しているように、マーケットに対する認識、その正誤も紙一重と言えよう。
■クロス円の円高傾向もしっかり確認できている
米ドル/円のみではなく、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における円高傾向も、しっかり確認できている。
ユーロ/円については、以下のチャートに示しているように、2013年年末高値から引かれる「下落トライアングル」の下放れを確認できたので、しばらく円高トレンドを推進していくだろう。
(出所:米国FXCM)
英ポンド/円は9月19日(金)の「上ヒゲ大陰線」からほぼ一本調子に反落、メインサポートゾーンを割り込んでいるから、2011年9月安値を起点とした円安トレンドが終焉を告げたとみる。
(出所:米国FXCM)
豪ドル/円は5月安値を割り込み、2013年8月安値を起点としたリバウンド自体の上昇ウェッジというフォーメーションを下放れ、かつ2012年安値から引かれたメインサポートゾーンを割り込んでいるから、2013年8月安値87円台への戻しも視野に。
(出所:米国FXCM)
■短期ではいったんスピード修正も、もう一段の円高を覚悟
ただし、米ドル/円の場合、2014年年初来高値の更新をもって110円の大台打診につながったから、目先、105円の節目手前までの打診をもって、その戻しを果たしており、短期スパンではいったんスピード修正があってもおかしくないとみる。
相応するように、クロス円全般も短期スパンに限っては、反落波がややオーバーシュート気味で、いくぶん調整(リバウンド)の余地がある。そして、その後、再反落する可能性が大きいかと思う。
当然のように、リバウンドがあっても、それは調整波であり、メイントレンドとしての円安には少なくとも年内は戻らないから、もう一段の円高進行を覚悟しておきたい。市況は如何に。
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