■中長期ビューをもとに戦略を組み立てる
「プロップディーラーのやっていることは、専業トレーダーの人と変わりません。朝7時すぎに出社して、前日のニューヨーク市場や金利を確認、同僚と意見交換しながら、その日の戦略を組み立てて取引を始めます」
鈴木さんの取引スタイルは基本的にデイトレだ。
「まず取引する通貨ペアですが、ファンダメンタルズ分析をもとになるべくテーマや方向性が明確なものを探します。
今ならば金融政策の方向性の違いが明確な米ドル/円。その上で最初に意識するのは中長期のビュー(見通し)です。今は『2015年には1ドル125円に行くだろう』というビューがあります」
鈴木さんの中長期見通しは前回の記事を参考に。
【参考記事】
●元プロップディーラーの2015年為替予想。米ドル/円は125円へ! 高金利通貨も注目
「ただ、それだけでは取引できないので手前に落としこんでいく。『中長期には円安が進むだろうが、米ドル/円は8月から11月で20円近く上がってきた。しばらくはもみ合って調整するだろう』と考えたとします。
そうしたら、その日の経済指標や要人の講演予定などを確認して、『指標で落ちたところを買って早めに決済しよう』などと取引のイメージを作るんです」

中長期的な見通しをもとに短期的な戦略へと落としこんでいくプロップディーラーの方法論、ぜひ取り入れてみよう。

■ファンダメンタルズは取説、テクニカルは運転技術
「あとはテクニカル分析を使って売買のタイミングを測っていきます。ファンダメンタルズ分析は自動車の取扱説明書のようなもの。『この通貨ペアは上がるでしょう』と書いてあっても、それだけでは目的地には着けません。目的地へ向かうには、運転技術が必要。FXでそれに当たるのがテクニカル分析です」

ファンダメンタルズを自動車の取説、テクニカル分析を運転技術にたとえる鈴木さん。2つが揃って始めて目的地にたどりつけるという。
ファンダメンタルズもテクニカルもバランスよく配合していくことが大切だ。鈴木さんはどんなテクニカルを見ているのだろうか。
「ボリンジャーバンド、一目均衡表、移動平均線、パラボリック……。いろいろ見ていました。そのときどきで効果的なテクニカルは変わりますし、トレンドが出ているのか、もみ合いなのかによっても違う。ひとつの通貨ペアに対して足の長さも変えながら、どのテクニカルが効きやすいのか、探していくんです」
ひとつのテクニカル、ひとつの足に固執しがち…
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