ディーラー出身の異色アナリスト
「今、経済紙などに為替のコメントを出す人は20人くらいでしょうか。そのうち、自分で買ったり売ったりして喜びや悲しみを感じた人は僕を含め3、4人しかいないですよね」
そう話すのはみずほ証券投資情報部のチーフFXストラテジスト、鈴木健吾さん。

現在はみずほ証券の顧客向けに為替市場の分析を提供するのが仕事だけど、自分の裁量だけでポジションをとる「プロップディーラー」として2011年まで活躍してきた。今の肩書きはストラテジストだけど、「口だけ」じゃない、僕ら個人投資家と同じく、「どう稼ぐか」と日々苦心した経験を持つ稀有な人物なのだ。
2015年3月までは112~118円のレンジか
そんな鈴木さんにも意外だったのが2014年10月31日(金)の金融緩和「黒田バズーカ2」だ。
「来年、2015年に米ドル/円は115円と思っていたのですが、追加緩和が前倒しで達成されました。さらに、解散総選挙が報道されると、市場は円安で反応したこともあり、このまま一気に120円へと向かう可能性もゼロではありませんが、2015年3月までは1ドル112~118円のレンジでもみ合うのではないでしょうか」
2015年のテーマは「米国復活」
2001年から2011年まで11年間に渡って、プロップディーラーとして稼いできた鈴木さんが2015年相場をどう見ているのか、もう少し突っ込んで聞いていこう。
「2014年は円安と同時に米ドル高も進んでいます。2015年は米ドル高の流れがより顕著になり、『米国復活』がメインテーマとなるのでしょう。もっとも大きなイベントとなるのがアメリカの利上げです」

2015年は米ドル高の流れがより顕著になり、『米国復活』がメインテーマに、もっとも大きなイベントがアメリカの利上げになるという。
2008年のQE1(量的緩和策第1弾)から続いてきた金融緩和の終了が決定し、アメリカの金融政策は「正常化」へと向かいつつある。
為替に織り込まれていない「米金利上昇」
「今のところ、アメリカの利上げは2015年7月~9月にかけてとみています。その手前からイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長をはじめとするFOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーから利上げ予告的な発言が出て、米ドル/円は120円を目指すというのがメインシナリオです」
2015年のFOMCは7月が29日(水)、9月が17日(木)。7月の利上げなら6月ごろに、9月の利上げなら8月ごろに120円突破となるのだろうか。
「FOMC後に発表される『ドットチャート』(※1)を見ると、FOMCメンバーが予想する2015年末の政策金利は中央値で1.375%。
それに対して、FFレート先物(※2)を見ると、市場はまだ0.5%前後までの利上げしか織り込んでいないことがわかります。利上げが現実味を帯びるに連れて市場金利が上昇することが予想され、日米金利差が拡大すれば、米ドル/円の上昇要因となります」
(※編集部注:「ドットチャート」とは、FOMCメンバーのFFレート誘導目標の見通しを分布図で示したもの)
※2 編集部注:FFレートはフェデラルファンド金利のことで、米国の政策金利。「FFレート先物」はそれを対象とした先物)
出所:FRB
2015年の米ドル/円相場は「2段階上昇」か
2015年の米ドル/円の高値は120円近辺になるのか。
「もう日銀は日本経済が良くなるまで金融緩和を続け、引き返さないでしょう。世の中が悪くなると、日銀の緩和姿勢が強まることになるというわけです。2015年の夏場には米ドル/円が調整するだろうと考えていますが、激しい円高にはならないと思います。
2015年10月に消費増税実施が行われるようなことがもしもあれば、景気への『援護射撃』として、日銀がさらなる追加緩和を行なってくる可能性があります。
また、その頃にはインフレ率2%を達成することも厳しいことが見えてくるでしょう。そうなると、結局、2015年10月から12月にも日銀は追加緩和を行なうかもしれません。すると、2015年末には、米ドル/円は123円~125円あたりまで円安が進む可能性があります」

日銀はもう後戻りできず、日本経済が良くなるまで緩和姿勢を続けるだろうというのが鈴木さんの見方。その結果、2015年末には、123円~125円あたりまで米ドル高・円安が進む可能性があるとのこと。
さらなる「黒田バズーカ」発射はいつあるのか? いずれにしても米ドル/円の大きな流れは米ドル高・円安ということのようだ。
2015年に注目すべき「4つの通貨ペア」
「2015年のテーマは『米国復活』と話しましたが、イギリスの利上げも見込まれています。一方で、日本とユーロ圏は金融緩和を行なっており、米英と日欧で強弱が非常にくっきりしています。トレンドも出やすいでしょう」

円安ばかりに目がいきがちだけど、ユーロ安だってなかなかのもの。ユーロ/英ポンドのような「ユーロクロス」(米ドル以外の通貨とユーロとの通貨ペア)が取引できるFX会社にも口座を開いておくとチャンスが増えそうだ。
【参考コンテンツ】
●FX会社おすすめ比較:取引できる通貨ペアを比べる「通貨ペアの多い順」
2015年と2005年相場との類似点とは
「ただ、2015年後半になると、少し様子が変わってくるのかなと思います。思い出すのは2005年あたりの相場です。今と同じく、アメリカが利上げへと金融政策を転換した直後でした」
アメリカが前回、利上げに転じたのは10年前の2004年6月。1%から1.25%へと政策金利を引き上げると、2006年6月の5.25%まで金利を引き上げた。金利引き上げ前の安値が101.80円、引き下げ局面に転じる前の高値が124.14円。アメリカの金融政策転換で20円以上の円安が進んだ。
世界経済を楽観ムードが包んで物色される通貨
「あのときはアメリカだけではなく、日本以外がみんな利上げしていました。世界的な金融引締めで世界経済は弱くなっていくのだろうと誰もが思いながら、強気のまま進んでいった。その歪みもあったのか、サブプライムローン問題が表面化して2007年にガッシャーン!ときましたが、それまで4年間も強い時期が続きました」
日本だって小泉政権のもと、「いざなみ景気」が起きた。とはいえ、ゼロ金利を継続したこともあり、円は全面安となって、円を売って高金利通貨を買う「円キャリー取引」が活発した時期でもある。
「先ほどからお話しているとおり、2015年序盤は米国復活がテーマ。それだけでなく、日欧が金融緩和していて、世界にマネーを供給しています。そのようななか、2015年後半からは世界経済が楽観的な雰囲気に包まれ、バブル的な様相になってくるイメージがあります。
世界全体の経済が良くなってくると、より高金利の通貨へマネーは動きます。2015年後半あたりからは、『高金利な通貨はどれだ!?』とオセアニア通貨や資源国通貨、新興国通貨などが物色される局面があるのではないでしょうか」

鈴木さんは「2015年後半は『高金利な通貨はどれだ!?』とオセアニア通貨や資源国通貨、新興国通貨などが物色される局面がある」との見方。
対米ドルで下落中の高金利通貨に注目を
豪ドルやNZドルは金利据え置き中だけど、2015年後半からはまた利上げムードが高まってくるかも。加ドルだってアメリカの金融政策に追随する傾向があるから利上げしてくるだろうし、新興国通貨では南アフリカランドやトルコリラなどもある。最近はトルコリラを取り扱うFX会社も増えてきた。
【参考コンテンツ】
●FX会社おすすめ比較:トルコリラが取引できるFX会社「スワップ金利が高い順」
「対円で見ているとわかりにくいですが、豪ドルやトルコリラ、ブラジルレアルなどは対米ドルでかなり売り込まれました。いい水準まで落ちていますし、最近では下落の勢いも弱まっています」
豪ドルは対円では100円台に復帰したが、対米ドルだと下落している。ということは、豪ドル/円は豪ドル高によって100円台へ復帰したのではなく、円安によって復帰したことになる。それが対米ドルでも上昇を始めれば、豪ドル高&円安のダブル効果で、米ドル/円よりも大きな上昇が見込める可能性があるわけだ。
「今すぐではないですが、豪ドルは2015年後半にはチャンスがあると思います。『1年ぐらい寝かせられるなら』という条件つきなら、たとえば、豪ドル建ての外債をもう買っていってもいいのではないでしょうか」

2015年も継続濃厚な円安トレンドだが、後半からは対米ドルだけでなく、さまざまな通貨でチャンスがありそう!
(「リーマンショック時に5分で1000万円儲けた!元ディーラーが明かすマル秘トレード術」へつづく)
(取材・文/ミドルマン・高城泰 撮影/和田佳久)
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