中東の地政学リスクは陳腐化が急速に進む
みなさん、こんにちは。
先週末は、イスラエルのミサイル攻撃をきっかけに、半導体関連銘柄が急落。米国の半導体大手エヌビディアは10%超も値を下げています。
ゴールド(金)も急騰し、日経平均も終わってみれば1週間で2455円も暴落。
しかし、マーケットのコンセンサスとして、中東の地政学リスクは陳腐化が急速に進む傾向があります。
まず、リスクオフに敏感なスイスフランは、先週末の東京市場でこそ急騰していましたが、欧米市場では、すでに反落開始。
(出所:TradingView)
週明けでは、セル・ザ・ファクトで金が急反落。
(出所:TradingView)
日経平均もあっという間に3万8000円台を回復しました。
一時、153.67円まで反落していた米ドル/円も、今週は154.88円と、節目の155.00円突破目前まで急騰しています。
為替介入は「相当近い」! 介入警戒レベルはMAXに
米ドル/円の急騰を受け、当局から介入を示唆するコメントが目白押し。
まず、23日には鈴木財務相が「介入の環境が整ったと捉えられてもいい」とはっきり「介入」という言葉を使いマーケットに警告。
それでも反落しない米ドル/円相場に対して、今度は元財務官の古沢満宏三井住友銀行国際金融研究所理事長が強烈に介入警報を鳴らします。
円が対ドルで約34年ぶり安値再び更新-介入への警戒感高まる
出所:Bloomberg
このような「為替介入は“相当近い"」とまで警報を鳴らすのも珍しい展開。
こうした要人からの連日の介入警報で、米ドル/円の節目である155.00円は近いようで、なかなかブレイクできずにいます。本稿執筆時点での米ドル/円の高値は154.88円。
(出所:TradingView)
155.00円にはバリアオプションがあるとはいえ、155.00円までわずか12pips程度のところまで攻めるも、そのわずか12pipsを攻めきれずといった状況です。
元財務官とはいえ、「為替介入は相当近い」という表現まで飛び出しているため、マーケットが懸念する介入実施は確かに目前なのでしょう。
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介入は155.00円ブレイクか日銀会合後?
次に、為替介入が及ぼすマーケットへのインパクトを考えてみましょう。
今回の介入のタイミングですが、まず米ドル/円が155.00円の節目を超えた場合。
もう一つのタイミングは、金曜日の日銀会合後とする見方も優勢となっています。
その理由は、当局が満を持して介入しても、日銀がタカ派転換しなければ、日銀会合後のマーケットで再び米ドル/円が155円を超えて急反発する可能性が高いためです。
では、今回の米ドル/円でのドル売り介入はどの程度効果があるのでしょうか。
その効果は、まず介入金額にもよります。
もちろん、1兆円より、2兆円、そして3兆円と規模が拡大するほうが当然介入効果はあります。
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介入手法はかなり研究され、短期では要警戒
次は、どうやって介入するか。
その手法に関しては、バンク・オブ・アメリカ(BofA)証券の山田氏が興味深い指摘をしています。
日銀会合後の155円突破で為替介入の可能性、準備は整う-BofA
出所:Bloomberg
具体的な介入戦術として、前回のように単発の大規模介入を時間を置いて繰り返すのではなく、「より小規模かつ頻繁な介入で米ドル/円を押し下げる手法」。あるいは、1回の大規模な介入でまず米ドルを150円近くまで押し下げ、その後の小刻み介入でさらに押し下げる可能性も挙げています。
こういう見方がマーケットで紹介されているということは、当局がその介入のタイミングと金額だけではなく、その手法もかなり研究しているとみることができます。
介入のタイミングは米ドル/円の155.00円ブレイクか日銀会合後か?
今回は、その規模とタイミング、そして外交関係、加えて介入手法まで検証されており、短期では警戒すべき介入になりそう。
今週の日銀決定会合と、米ドル/円の155.00円の攻防に注目です。
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