週明けのマーケットで気になったのは、やはり原油価格の動向だ。UAEの石油相が、40ドル台でも減産する気はないという趣旨の発言をしたのだ。これで原油価格がもう10ドルも急落するようなことになると、巨大なリスク回避は避けられない。株価はかなり大きく落ちるだろうし、それにともなって円の買い戻しが入る。つまりドル円とかユーロ円はかなり大きな調整を強いられることになるだろうということだ。
そもそも先週の原油の安値は57ドル台だったが、早朝から56ドル台にまで突っ込んだ。先週末にIEAが2015年石油需要見通しを下方修正した。たしかに窓を開けての急落なので大事ではあることは事実なのだが、値幅はたかだか1ドルだ。世の中がパニックになるほどでもない。
それでもドル円は118円台の中盤から値崩れを起こして、117円台に突入。9時前の海外セッションで日経先物はすでに17000円の大台割れを喫していた。すでにリスク回避の動きが強まっている。しかし9時になって東京オープンを迎えると、日本人によるリスクテークが強まった。安いところの株を拾っておこうという意欲が強かったのだ。
それを見て為替相場のほうでも一安心。ドル円も118円台を回復した後は、次第に値固めのほうに向いていった。ドル円は仲値きめを通過しても強かった。そして119円台までつける始末だ。私もすっかり朝に頭で描いていたシナリオが違ってきて困った。
だが欧州序盤に向けてドル円は軟化。欧州株が激安で、それが再びリスク回避を誘ったのだ。原油価格の下落が国家財政を直壁するといわれて久しいロシアの株も通貨も、大幅に値を下げてきたようだ。ルーブルの対ドルレートも激しくルーブル安だ。アジア時間での激しいドル円のショートカバーを見ているので、ショートで攻めても時間は短い。10ポイントも取れたら、喜んでいったんは利食いする。
それを繰り返しての118円台の前半だったが、ニューヨークオープンまでに再び118円台の後半まで上がってきた。原油価格も57ドル台まで戻して、安いながらも安定している。日欧の株価が安いというのに、米国株はグローベックスセッションからすでに強く、大幅高となっている。エンパイア指数の景況感もマイナスであったにも関わらず、それほどもリスク回避にならなかった。早々に撤退することにした。
しかし今度はUAEの石油相が40ドルに下落しても、OPECは減産しないという決定は変えないし、緊急会合を検討するのは、少なくとも3カ月間状況を見守ってからになるとの発言が伝わってきた。原油価格が55ドル台まで見せられてしまったせいか、急速にリスオフへと向かった。
米国株は大幅高だったものが、すべての浮き分を吐き出して、しかも前日比でマイナス転。ドル円は再び117円台に沈んでいく。グローバルなスローダウンが懸念される中、ドイツ国債も10年ものの利回りは歴史的な低水準まで落ち込んだようだ。
ちょっとした原油価格の下落でもマーケットは過敏に反応するようになってきている。今年の安値をブレークしてこようものならば、なおさらだ。今晩も同様に原油相場の動向、およびそれによるリスク相場のありように注目しなければならない。経済指標もたくさん出るが、マクロデータの存在意義は薄まってきている。
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