■5年サイクルなら米ドル/円は2016年後半に向け下落
ところで、同プライマリーサイクルの中、3つに分けられるメインサイクルがあり、それには長短があったものの、平均5年前後の周期を有していたことも一目瞭然だ。
(出所:米国FXCM)
今回の円安トレンドは、2011年10月から数えれば、すでに3年超を経過している。5年サイクルで考える場合、2016年後半のボトムに向け、反落しなければならないから、目下進行中の円安トレンド、強くても来年(2015年)前半しか伸ばせないだろう。
前述のように、調整していない一本調子の円安であったから、来年(2015年)前半まで円安トレンドを伸ばすこと自体、かなり無理を重ねた結果だと言える。
それに、上値ターゲットに関しても、米ドル/円の月足が大きなヒントを示唆している。2007年高値から2011年安値までの下落波動は、大型ダイアゴナル・トライアングル(下落ウェッジともいう)というフォーメーションを形成し、16~17年サイクルにおける典型的な最終子波の形を示していた。
同フォーメーションのブレイクは往々にして激しい値幅をもたらす。それは足元までの相場とも整合性があるのだが、同フォーメーションの起点、つまり、2007年高値(124.16円)の達成をもって一服されやすいということもテクニカル・アナリシスの法則から説明できる。
相場は単純な数学ではなく、ぴったりであることもなかなか難しいが、2007年高値(124.16円)から多少のずれもあり得ると考えると、結局、125円前後が妥当な水準ではないかとみるわけだ。
さらに、筆者の見方が正しければ、一時122円の節目手前に迫っていた米ドル/円は、125円まであと3円ちょっとの値幅しかないから、米ドル/円の騰勢がここから一本調子になりにくいということも暗示されよう。
■2014年最高値から10円程度の調整があれば押し目買い
2014年12月8日(月)高値から、米ドル/円が一時6円超の調整幅を記録しているが、このまま高値を更新し、一気に124~125円台のターゲットを達成してしまうという可能性は否定できないものの、調整がなお不十分で、日柄と値幅の両方がさらなる調整を経てから、2015年のメインターゲットをトライしていくことを有力視する。
言い換えれば、ここで一気に上値ターゲットを達成するか、それともある程度の調整を経てから上値ターゲットをトライするかの違いで、2014~2015年の年末年始の相場が決まるだろう。追加緩和後の値動きから考えて、やはり後者の可能性が高いのではないかとみる。
仮にそうであれば、125円の大台は簡単に達成できるようにみえるが、思ったより容易に手が届かないといった相場が来年(2015年)春まで続くのではないだろうか。
ただし、124~125円を達成させるまで、円安トレンドは継続できると考え、なんらかの材料を待ってからでないとトレンドもなかなか反転しないとみるので、仮に今年(2014年)の最高値から10円程度の調整があれば、引き続き押し目買いスタンスで臨むべきだと思う。
■ユーロ/米ドルは2015年もベアトレンド加速とみるが…
米ドル/円の話が長引いたので、ほかの通貨ペアについては簡潔にまとめておきたい。
まず、ユーロ/米ドルについては、大型ベア(下落)トレンドの進行が2015年も加速するとみる。2014年5月高値を起点とした下落波は、大型下落チャネルにおける最初の波にすぎないとみるから、2015年後半に1.15~1.16ドルの下値ターゲットを達成できるだろう。
(出所:米国FXCM)
ただし、米ドル/円のオーバーボートと対照的に、目先、ユーロ/米ドルは売られすぎで深刻なオーバーシュートという状態。年末年始、なかなか1.2~1.21ドルといったサポートゾーンを割り込めないなら、2015年早々、大きなリバウンドを展開する可能性が大きいとみる。
リバウンドの幅については、目先測りにくいが、少なくとも5月以来もっとも大きな反騰幅を達成できる見通しだ。この意味では、一時的にせよ、1.29~1.30ドルの打診があっても驚くことではなかろう。
(出所:米国FXCM)
調整があってこそ、健全なトレンドを継続できるから、いったん大きなスピード調整があることが、これからの大きい下落トレンドにつながっていく。
■ユーロ/円の高値は152~153円程度と予測
となると、ユーロ/円については、トップアウトしたかどうかの判断を慎重にすべきだ。
ユーロ/米ドルが反騰する間、ユーロ/円は高値圏での推移を保ち、場合によってはもう1回高値更新があってもおかしくなかろう。ただし、米ドル/円の調整も想定しているから、ユーロ/円の2015年の高値は、152~153円程度と想定した方が無難なのではないだろうか。
(出所:米国FXCM)
そのほかの主要通貨ペアも同じような値動きになる可能性が大きい。米ドル全面高のトレンドが強ければ強いほど、外貨のパフォーマンスが均一化していく。
目先、米ドルが買われすぎなら、英ポンドも、豪ドルも来年(2015年)春において対米ドルのスピード調整(反騰)を見込めるものの、結局は大型ベアトレンドを継続していくだろう。
また対円では、英ポンド/円はユーロ/円に追随、豪ドル/円はユーロ/円よりも先にいくといったイメージでみるのがよいだろう。
テクニカルの視点のみで、なかなかファンダメンタルズのことを書いていないが、大いなる安定期が過ぎて、2015年こそサプライズが出やすいのではないかともみている。
このあたりの事情は、また新年第一号(1月9日)にて書かせていただきたい。それでは、みなさん、よいお年を!
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