■通貨安戦争からスイス脱落、カナダが新たに参戦
表立って通貨安政策を取っているとは言えませんが、現在、通貨安を志向しているのが、日本、欧州、豪州、ニュージーランド。
ニュージーランドは首相自ら、NZドルのターゲットを明言したこともあります。
【参考記事】
●ドル/円は110円到達でスピード調整入り。首相の口先介入で急落のNZドル、今後は?(2014年10月2日、西原宏一)
そして、新たに参戦したのが昨晩(1月21日)に緊急利下げを表明したカナダ。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移)
BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])は1月21日(水)、政策金利を1%から0.25%引き下げて0.75%にすると発表。その背景にある大きな要因は急激な原油安だと思われます。
(出所:米国FXCM)
この通貨安戦争の中にスイスも入っていたわけですが、フロア撤廃で脱落。
なぜ、スイスはフロア維持を断念せざるを得なくなったか。その要因は、ECB(欧州中央銀行)によるQE(量的緩和策)実施の可能性が高まってきたことにあると観測されています。
■QEが開始されれば通貨安が進むというのが一般的だが…
本日(1月22日)、1月最大のイベントであるECB理事会が開催されます。
事前予想は「月額500億ユーロ相当の国債購入を2016年末まで継続的に実施」といった内容で、この予想に対し、ほぼ満額回答されるとの観測が広がっています。
ただ、その期間は1年なのか2年なのか?という問題や、社債購入の可否、国別の購入規模などに関する詳細は、今晩のECB理事会の発表待ち。
まとめると、まずECBがQEを開始するわけですので、日銀の異次元緩和同様に、大きく通貨安(ユーロ安)が進行すると考えるのが一般的。
■ECBのQEをマーケットがどれだけ織り込んでいるかがカギ
ただ、問題はQEに対するマーケットの織り込み度、つまり、ユーロ/米ドルのレベル。そして、マーケットにサプライズを起こせるかという点。
まず、本稿執筆時点でのユーロ/米ドルは1.1590ドルレベル。ユーロ/米ドルの1.15ドル台というのは、マーケットのユーロ安のコンセンサスだったレベル。
2015年年初からECBによるQEのウワサが信憑性を増しており、マーケットはQEを織り込む形でユーロ売りを進めてきた結果、QEが発表される前に、節目の1.15ドル台までユーロ安が進んでいます。
中長期のユーロ/米ドルのターゲットは、たとえば、2016年はパリティ(1ユーロ=1米ドル)という意見も多数。
(出所:米国FXCM)
ただ、ユーロ/米ドルの目先のターゲットは1.1500ドルレベル。1月16日(金)には、一時、1.1460ドルまで暴落しましたが、さすがに1.15ドル台で下げ渋っています。
(出所:米国FXCM)
本日(1月22日)のECB理事会に関しては…
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