■ECBのQEをもって、一本調子の円安は終わった
2014年年末の150円の節目手前への接近は、言ってみればオーバーボートの極みで、足元まで急速に修正されたものの、ユーロ安・円高トレンドの終焉にはほど遠い。ゆえに、ECBのQEをもって、一本調子の円安が終わったとみるべきだろう。
反面、2014年高値から反転してきたユーロ/円のチャートから考えて、ECBのQEがユーロを反転させたのではなく、むしろ、ユーロ安がかなり進行してきたあとに、昨日(1月22日)のECBの量的緩和を迎えたというイメージではある。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
それは他ならぬ、ユーロ高・円安がオーバーしたことに対する反動が先行していたことの証左であり、またQE観測を含めた緒要素の総合作用とみるべきだろう。もちろん、事前予想できなかったスイスショックもユーロ売りを加速させた側面が大きかった。
■ユーロ/円は128.35円まで下落の可能性も
前回のコラムで記していたように、ECBの量的緩和をもってユーロのターゲットを下方修正すべきだ。早ければ、ユーロ/米ドルの年内パリティ(1ユーロ=1米ドル)も視野に入るから、ユーロ/円も相当な下値余地を覚悟すべきだ。
【参考記事】
●9.11に匹敵する衝撃の「スイスショック」!円相場がその二の舞となる可能性も!?(2015年1月26日、陳満咲杜)
最もポビュラーな測り方として、2012年安値を起点とした全上昇幅の38.2%押しの位置、すなわち、128.35円は最短目標として視野に収められるだろう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 月足)
ただし、一直線な打診は想定していないし、また難しいだろう。
■ユーロ/米ドルの下落が正常範囲に留まっている理由は?
何しろ、ユーロ/米ドルの下落が一本調子になるとは想定しにくいからだ。注意すべきなのは今回のECBの量的緩和を受け、ユーロは昨日(1月22日)大きく下落したものの、値幅としては正常な範囲に留まっているということだ。
目先売り圧力が強く、近々1.12ドルの節目前後の安値をトライする余地はあるものの、それ以上の急落はいったん回避できるのでは…とみる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
なぜなら、今回のECBの決定は、この前のスイス中銀の決定と違うのはもちろん、昨年(2014年)の日銀の追加緩和とも違っていたことが大きなヒントを与えてくれている。
スイス中銀の行動は論外だったとしても、日銀の追加緩和は典型的サプライズだったのに対して、今回のECBの決定はサプライズではなかった。
ECBが早晩QEに踏み切るといったコンセンサスが市場を支配し、2014年5月から、ユーロ/米ドルはほぼ一本調子に下げてきた。直前には、フランス大統領やECB内部からのリークもしっかり外部に漏れてきた上、政策の有無ではなく、規模も大まかに伝わり、マーケットにとっては既定路線を走っているようなものだった。
だから、いくらQEとはいえ、目先ユーロの下値余地は「意外」にも大きくないことを、注意すべきポイントとして記しておきたい。
とはいえ、今週は1月25日(日)にギリシャで総選挙もある。ユーロの波乱は続く以上、安易な安値拾いも避けたい。ユーロ/円は落ち着くまでは、いったん130円の節目割れもあり得ることも併記しておきたい。市況はいかに。
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