昨日はお昼すぎに行われる国債の入札が不調だったのが話題になった。長期金利は低くて当然だとする金融政策の危なさを露呈することになった。円債の先物価格が久しぶりに急落したので、過敏に反応してしまった面もある。それでも以降はドル円もリスク回避の姿勢が強まり、116円台に突っ込んだまま、値を戻さないでいた。
いつもならば「こんなに安いのに」と考えてしまう日本人の押し目買いが入ってしかるべき水準だったのに、なかなか腰の強い買いは出てこなかった。そしてこのような不安心理は他の資本市場にも波及し、日本株もアジア時間は軟調で通した。
私も何度も116円台でショートに振ってみたが、東京クローズ間際からはすぐに117円台に戻ってしまうような展開が続いた。細かく損切らされてしまうことの繰り返し。欧州序盤までは3、4回も小さくやられたであろうか。
ピケティ教授が日本に来ていて、民放や公共放送にもたくさん出演している。アメリカで話題になった時にアメリカのニュース番組の特集でも見ていたので、本を読んでいないので詳しくはわからないは、経済成長を続ければ格差は余計に広がるのを主張しているのは知っている。
でも資本主義を「見えざる手」にゆだねていれば自然の調節が入るだろうというのは3世紀前の古い話で、それは150年前のマルクス経済論で放置は許されないとすでに指摘されている。だからピケティの言っていることは何も新鮮味のある内容ではないだろうと思う。
それでも戦後の大勢をしめてきた経済論というのは、成長を促せば格差は縮まるというものだったらしい。ピケティ氏は成長を促しても、まず潤うのは既に持っている資産家で、その余った部分を労働者などで分けることもありうるとするものだ。
ともかくも面白いのは、いま日本の政府が進めているアベノミクスというのは、まさしくピケティ氏の主張していることの正反対だということだ。安倍政権では金融緩和というカンフル剤をもって株価を底上げし、それで潤ったであろう企業に従業員の賃上げを促すという図式だ。
だからピケティ氏が来日しても日本政府としては、勉強会などとしょうして彼を招へいしようとしないのも当然なのは理解できる。でも昨日の国債市場のようなことが起こったり、またそれが他の資本市場に不安を与えたりするのは、たまたまピケティ氏が日本に滞在しているのと偶然の一致なのだろうか。
ともかくも昨日は海外市場ではリスク許容度の回復が見られた。BPやガスプロムなどが減産につながる設備投資のカットを表明してきており、原油価格が急上昇した。また米企業でも大型合併の話なども出てきたりして、米国株は大幅高になった。ドル円もアジア時間での値動きがウソのように、117円台の後半までひたすら上昇した。
そうしたリスクテークの流れは今日も続いており、アジア時間の午前中にドル円は118円ちょうどを目前にするところまあで上がり切った。今晩はそのリスクテークが続くのかどうかに注目だ。
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