■注目が高まったイエレン議長の議会証言だが…
今週(2月23日~)、24日(火)、25日(水)には、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、米上院銀行委員会、米下院金融委員会のそれぞれに対して、今や慣例となっている半期に一度の金融政策に関する議会証言を行いました。
市場では、前回のコラムでもご紹介したように、18日(水)に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(1月27~28日分)において、「多くの参加者は、政策正常化の開始時期と関連したリスクバランスの評価を通じて、FF金利をより長期にわたり事実上の下限で維持するという考えに傾いたとの認識を示した」ことが判明。
【参考記事】
●FOMC議事録公表で6月利上げ説に暗雲。猫の目みたいなユーロも最終的には下落(2月19日、今井雅人)
利上げ開始時期が市場の期待よりも、かなり後ずれするのでは? との観測が高まったほか、その理由として、最近の米ドル高がかなり急であったということ、また、ギリシャやウクライナなどの国際的な不安定要因が存在していることが挙げられ、さらに、米国で賃金の伸びが非常に緩慢であることなども指摘されていました。
このことから、イエレンFRB議長の直近の認識を確認するべく、議会証言にはかなりの注目が集まりました。
■フォワードガイダンス変更しても利上げには慎重か
24日(火)の上院銀行委員会での証言では、「新ガイダンスは、必ずしも次の2会合での利上げを意味しない」としながらも、「利上げ前にフォワードガイダンスを変更する。ガイダンスの変更は、どの会合でも利上げが可能だということを意味する」と表明。
この発言から、3月のFOMCでのフォワードガイダンス変更の可能性が高まったと市場ではみられています。いわゆる「金融政策正常化への準備」、つまり「利上げの準備」が整ったということでしょう。
ただ、同時に、「経済は目に見えて回復したが、まだ利上げの段階ではない」ということにも言及しており、仮にフォワードガイダンスを変更したとしても、実際の利上げには慎重な態度を示しています。
■タカ派なのか? ハト派なのか? わかりづらい証言に…
利上げ開始の条件としては、これまで焦点を当てていた「労働参加率」ではなく、今回は、「賃金の上昇」を挙げているほか、「2%のインフレに向かって上昇していくと確信が持てた時」と提示。
タカ派、ハト派両方の側面を強調するわかりづらい証言となったのも事実でしょう。
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翌日のFT(フィナンシャル・タイムズ)やWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)などが、「イエレンFRB議長、利上げへの道筋を示す」と報じた一方で、その他では、「ハト派的な議会証言」との見出しも多く見受けられるなど受け取り方は、かなりバラけた感じです。
「相当な期間(considerable time)」、つまり…
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