■米利上げ開始時期は、もう少し後にずらした方が良い?
昨日2月18日(水)、FOMC(米連邦公開市場委員会)の1月27日(火)、28日(水)の会議の議事録が発表されました。
【参考記事】
●量的緩和&ギリシャ問題でユーロは下落!ロシア株暴落、ルーブル下落もユーロ安要因(1月29日、今井雅人)
ここで、注目される表現がありました。それは、以下のとおりです。
「多くの参加者は政策正常化の開始時期と関連したリスクバランスの評価を通じて、FF金利をより長期にわたり事実上の下限で維持するという考えに傾いたとの認識を示した」
つまり、これまでは、2015年6月ぐらいまでにはFRB(米連邦準備制度理事会)は利上げを開始するであろうという見方が一般的でありましたが、それを少し後にずらした方が良いのではないかという意見に、みんなが傾いてきたということが書いてあります。
■米ドル高は物価の上昇を抑え、賃金や消費の伸びにも影響
その理由としては、最近の米ドルの上昇がかなり急であったということ、ギリシャやウクライナなどが依然不安定な状態にあること、そして、米国で賃金の伸びが非常に緩慢であることなどが挙げられています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
米ドルが強くなると、米国の輸出にマイナスであるだけではなく、通貨高は物価の上昇を抑える効果があります。
また、賃金が思ったほど伸びていかないということになると、その影響で消費が伸びないので、物価もあまり上がらないという動きになってくる可能性が高くなってきます。
そうしたことから、あまりあせって利上げをしなければならないような状態ではないと、メンバーが考えたということだと思います。
■早期米利上げ期待は大きく後退したか
また、フォワードガイダンスである「辛抱強く(patient)」という文言の削除が、「利上げ開始時期の範囲を過度に狭めてしまう恐れがある」ことにも言及。
2015年3月のFOMCでの文言削除を期待する向きも多かっただけに、市場の利上げ期待が大きく後退した感は否めません。
【参考記事】
●量的緩和&ギリシャ問題でユーロは下落!ロシア株暴落、ルーブル下落もユーロ安要因(1月29日、今井雅人)
これまで、せっかくチャート的にも上抜けて米ドルが上昇するのではないかというムードが生まれていましたが、一気にムードがしぼんでしまったという印象を受けています。
■FOMC議事録は1月米雇用統計前の判断である点を考慮
ただ、物価がなかなか上がっていかない状態は、日本など他の国でも同様なので、これで米ドル安になっていくということでもないと思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
さらに、今回の会合は、2月6日(金)に公表された1月米雇用統計前の判断であるという点も考慮する必要があるでしょう。
【参考記事】
●増加幅が17年間で最大!強い数字が並んだ米雇用統計で予想より早くドル高・円安へ(2月13日、今井雅人)

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
■米ドル/円が下がったところはしっかりと買っていく
現時点では、「議事録にあるほどハト派的ではない可能性」もあるわけで、そうなってくると、どうしてもレンジ相場に入る可能性が高まってしまうということなのかなと思っています。
トレードをする人にとっては、難しい環境が続いてしまいそうです。
その際に、1つ思い出していただきたいことは、この間もGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のような公的機関の円売りは、続いているということです。
【参考記事】
●原油の一方的な下落傾向に変化あり。ドル/円もユーロ/ドルも最後はドル高に!(2月5日、今井雅人)
こうした円売りは、後でじわじわ効いてくるというのが大体これまでの動きとなっています。
米ドル/円が下がったところは、やはりしっかりと買っていくのが良いのではないでしょうか。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■ユーロ/米ドルは最終的に下落だが、当面、上下動繰り返し
一方、ユーロ/米ドルですが、こちらもFOMCの議事録で米ドル高ムードが低下した影響を受けると思っています。
さらに、ギリシャやウクライナの情勢は猫の目のように、連日、二転三転しているので、これにどうしても振り回されてしまいます。
最終的には下落していくという見方は変えてはいませんが、当面、これも上下動を繰り返してしまうのだと思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
こういった環境のときは、相場に振り回されることなく、下がったら買い、上がったら売るという基本姿勢で冷静に対応するのが、一番うまくいくのではないかと思っています。
興奮せずに、冷静にマーケットに向かっていっていただきたいです。
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