昨日はアジア時間でドル円がズルっと落ちた。しっかりしているように見えていた123円台だったが、仲値決めまで上げきることができず、短期的なロングポジションが投げさせられることになった。また月越えの1か月ものの円コールオプションなども出たようで、そのカバーのためのヘッジ売りがかさんだようである。
122.75あたりまで安値トライをしていたドル円だったが、欧州序盤には値を戻してきた。同時にユーロドルも下がってきた。形の上ではドルの全面高である。しかし大きな材料がないため、大幅な動きにはつながらない。イギリスの雇用関連のデータが良かったので、ポンド高がやや目立っただけだった。
こうなってくるとユーロドルもドル円も、しばらくはレンジ相場を形成しそうな雰囲気である。なぜ前日の高値と安値がテクニカル的にも重要視されるのか。それを需給の観点から見ていこう。まずは高値のほうである。1日の動きは4本値で表すことができる。始値、高値、安値、終値である。
相場が動いている以上、必ずどこかに高値は存在する。前日はその高値近辺で取引はされていたということだ。翌日に上値攻めをすると、そういう状況になるだろうか。前日の高値近辺では多くの売りものが出てきて、相場が上がろうとするのに抵抗しようとする。それはなぜだろうか。
どういった人が売りたいとか思うのかというと、まずは今日どこかで売りたいと考えている人。ちょっとでも高く売ろうと思えば、昨日はどこまで上値はあったのかを参考にするからである。昨日あった値段であれば、今日も売れるだろうという考えだ。
次に昨日、高いところで売り注文を出していたのに、それが届かなくて売れなかった人だ。そういう人らも前日の高値付近まで自分の売りたいレベルを下げてきて対応することになるだろう。そしていちばん切実なのは、昨日の高値近くで買ってしまった人たちである。つまりシコリを抱えているのである。我慢していたら、ようやく自分のコストまで戻ってきたのだ。
だったらそこで逃げの売りを出してくるのは当然だ。こうした売り需要が、高値付近に近付くとたくさん出てくる。相場はそこで抵抗を示すことになる。これがますますレンジ内にとどまることを助長するのである。さて今晩もイベントがなく動意薄が続きそうだ。こうしたテクニカルムーブ中心の動きでレンジ内に留まりそうだ。
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