昨日は注目のECB理事会であった。10月に「12月に何かやる」と言ってしまったドラギ総裁だが、それを先取りするようにマーケットは動いてきた。金融緩和の対象である欧州債の買い入れはもっと増えるのではないかという思惑で、メインのドイツ債などは今週に入って強烈に買われてきた。
10年ものの利回りは0.5%を下回ってきた。そして為替相場ではユーロ金利の先安観がつのって、ユーロ売りがかさんだ。ここ2か月間でユーロドルはひたすら下落。そしてついに今年の最安値をも視野に入れるくらいにまで下がってきた。次から次へとイベントに向けたポジション作りのためのフローが出てくるので、なかなか相場がもとに戻らない。
逆にいうとポジションの偏りも一方向に大きく傾いているのが、よくわかる。ユーロドルはとうとう1.05台の前半まで垂れてきた。そうした中でのECBの金利会合であった。
欧州序盤で早々にユーロドルは半年ぶりの安値を更新してきた。そしてECBの金融政策の発表時点でも、さらに安値を更新。1.0515まで安値を記録した。しかし会合の結果は銀行向けの準備預金のためのマイナス金利の下げ幅は、予想ほどでもなかった。
これで第一弾の失望となって、ユーロに買い戻しが入った。ユーロドルは瞬間的に1.07台も見る。そして欧州株はそれまでのゲインを失った。1時間ほどたってドラギ総裁の記者会見が始まると、失望はますます深くなった。金融緩和は時期を半年伸ばすだけで、国債買い入れの金額を増やすことはしなかった。それでユーロの買い戻しと株売りの流れは決定的となった。
そして記者からの質問に対してまごつくことも見られた。マイナス金利はこれ以上ワークしないのではないかとした質問だ。確かにマイナス金利というのは銀行の負担を増やすだけである。
しかも実験中みたいなものだ。だから答えられなくても仕方がないのだが、それがマーケットの不信をあおったような面もある。ユーロドルは1.08台の後半まで急伸し、もう誰もユーロ売りを仕掛けるどころではなくなった。
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