2015年後半あたりから、ロスカットされる証拠金維持率を引き上げるよう、ロスカットルールを変更するFX会社が出てきました。今回はこの動きをご紹介するとともに、ロスカットされる証拠金維持率を20%と、今も低く設定できるFX会社をご紹介しましょう。
■ロスカット水準がジワっと引き上げられている
ざっと調べただけで、YJFX![外貨ex]、マネーパートナーズ[パートナーズFX]、岡三オンライン証券(くりっく365)の3口座が2016年3月現在、ロスカットルールをすでに変更している、あるいはこれから変更することを発表しています(下表参照)。
ロスカットが近づいていることを知らせてくれるアラート通知の水準も、いっしょに変更されていますよ。

※YJFX![外貨ex]は、2016年12月には証拠金維持率100%をロスカット水準とする予定
※岡三オンライン(くりっく365)のロスカット水準およびアラート水準は証拠金維持率100%まで10%ごとに各自で設定することが可能。表では、選択肢のうち、もっとも低いロスカット水準について取り上げている
ご覧のとおり、数値は各口座で若干異なりますが、いずれもロスカット水準となる証拠金維持率を引き上げる変更。つまり、より資金に余裕があるうちにロスカットされるようになった、あるいはこれからなるということになります。
店頭FXだけでなく、取引所FX・くりっく365についても対象となっており、これはもしかしたら某庁などからFX業界全体に対して何らかの指導が行われたからなのか? 真相は明らかではありませんが…。
余談ですが、実は法人口座のレバレッジについても、2015年あたりからFX会社が相次いで最大100倍くらいにまで引き下げているといった動きも見られ、やっぱり何かしらの指導があったのか? なんて想像しております。
2011年のレバレッジ規制により、個人口座の最大レバレッジは25倍と法令で定められられましたが、法人口座は対象外でした。つい最近まで最大レバレッジ200倍やそれ以上の法人口座も、結構あったのですが…。
【参考記事】
●レバレッジ規制とは何か?レバレッジ規制を逃れる方法はあるのか?
この件については、また機会があれば取り上げていきたいと思います。ロスカットルールに話を戻しましょう。
■「ロスカット」は資金ゼロやマイナスを回避するための制度
「ロスカット」とは、思惑と反対方向に動いた際、各社で定められた一定のラインまでくると強制的に保有ポジションが決済されてしまう制度。FX会社は、金融先物取引業協会の規則に従い、ほぼリアルタイムで取引口座がロスカット水準に達していないかどうかを監視しています。
トレーダーのみなさんは、「強制的に保有ポジションが決済されてしまう」ということで、なんだか嫌~なイメージを持っている方もいるかもしれませんが、強制的に決済されるからこそ、預け入れた資金がゼロ円、あるいはマイナスに食い込んでしまうことから守られるとも言えます(※)。
(※急激に大きくマーケットが動いた際は、ロスカット水準を大きく割り込んだ水準で強制的に決済され、資金がゼロ円、またはマイナスにまで食い込んでしまう可能性もある)
トレードスタイルにもよりますが、そもそも無理はせず、ポジションは資金に余裕のある状態で保有するのが基本。ですが、そうは言っても予想だにしないマーケットの急変に突如、巻き込まれることだってありますよね?
2016年は特に、年始からチャイナショックは起こるし、日銀のマイナス金利導入でマーケットは動揺するし、英国のEU離脱問題で英ポンドは急落するし…。予想だにしないマーケットの急変が結構、起きています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
何はともあれ、そんなもしもの時のために、利用しているFX会社のロスカットルールがどんなものなのか、きちんと理解しておくことはとても大切です。この機会に、改めてしっかりと押さえるようにしてくださいね。
では、詳細に移りましょう。まず…
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