■中国人民元安を見込んだ投資から米ヘッジファンド撤退
加えて、多くの米ヘッジファンドは、中国人民元安を見込んだ投資からも撤退している模様。
(出所:CQG)
米ヘッジファンド、人民元安見込んだ投資から撤退
ファンドマネージャーやバンカーの話によると、中国人民元の大幅な下落を見込んでいたヘッジファンドの3つのタイプうち2種類は取引から手を引き、「ブラック・スワン」投資家と呼ばれる一部の超弱気派だけが長期的な元下落の見通しを維持している。
金融業界の大手4行のヘッジファンドのセールスデスクの担当者はロイターに対して、1月初めに中国政府が積極的な為替相場の下支え策を打ち出すまで、多くの米投資家は元安投資で利益を上げていた。
しかし、中国政府の積極的な為替介入や、一部の資本移動制約、さらにはオフショア市場での元流通量の削減によって、多くのファンドが2月の春節(旧正月)の休暇までに投資エクスポージャーを削減するか、取引から撤退したという。
この結果、テキサス州に拠点を置くマーク・ハート氏のコリエンテ・パートナーズや、中国が経済のバランスを取り戻すために人民元を50%切り下げるとみていたカイル・バス氏など、主に「テールリスク」ファンドと呼ばれる勢力が残った。
人民元相場 CNH= は昨年11月以降、オフショア市場で着実に値下がりしたが、1月7日に1ドル=6.75元で底を打った後、ほぼ半値戻しの水準まで回復している。
出所:ロイター
リスク環境が好転している背景には、中国情勢の安定化も挙げられます。
ジョージ・ソロスを筆頭に、中国に対してネガティブな相場観をもっている投資家は多数。
【参考記事】
●ソロスも警告! リーマンショックが再来!? 株安・円高の行方占う2つのポイントとは?(1月14日、西原宏一)
しかし、中国株そのものは流動性の問題や規制が多いため、中国株売りのプロキシー(=代替)として挙げられたのが日本株でした。
中国に関するネガティブな報道が出るたびに、中国株そのものより、プロキシーとしての日本株が大きく売られたことは記憶に新しいところ…。
その中国情勢ですが、G20や全人代を通して沈静化…。
結果、プロキシーとして使われていた日本株への売り圧力自体も落ち着きを見せ、日経平均も一時、1万7000円の大台を回復しています。
(出所:株マップ.com)
■NYダウ崩れず、期末に向けて「株高・円安」へ
今月(3月)は日本企業の期末。
先月(2月)のSQショック時は、日経平均と米ドル/円が暴落し、3月の本邦企業の決算に大きな影響を与えることが懸念されていました。
【参考記事】
●日銀マイナス金利導入が円高・株安誘引!? ドル/円急落の裏で何が起こっていたのか?(2月18日、西原宏一)
しかし、まず本丸であるNYダウが崩れず反発していること。
(出所:CQG)
そして、リスク環境を圧迫していた原油相場が値を戻していることで、マーケット環境は徐々に好転しています。
本日(3月10日)のECB(欧州中央銀行)理事会、そして、来週(3月14日~)開催される、日銀会合とFOMC(米連邦公開市場委員会)というイベントをうまく乗り越えられれば、日経平均と米ドル/円は値を戻し、多くの日本企業の決算がうまく乗り越えられる公算が高まってきました。
【参考記事】
●ドラギ総裁公言でECBの追加金融緩和はほぼ確実! ユーロは急落するのか?(3月8日、西原宏一&松崎美子)
多くのヘッジファンドの投資スタンスにも変化が見られ、期末に向けて底堅く推移することが期待される日経平均と米ドル/円の動向に注目です。
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