■黒田総裁の切り札「マイナス金利」の評判は芳しくない
黒田日銀総裁が切り札として投入した「マイナス金利」ですが、マーケットの評判は芳しくありません…。
【参考記事】
●日銀のマイナス金利導入で相場大荒れ! 米ドル/円は急上昇→急反落→ジリ上げ
過去のコラムでも触れましたが、1月29日(金)という時期に発表されたこともあり、多くの運用担当者は、2016年度の運用計画を大幅に見直す必要に迫られ、会議の連続…。
【参考記事】
●日銀のマイナス金利の効果は賛否両論。円安・株高は中長期マネーがカギを握る(2月4日、西原宏一)
また、外資系銀行はECB(欧州中央銀行)がすでにマイナス金利を導入しているため問題ないようですが、邦銀、とくに地方銀行はマイナス金利を入力できるよう、システム面での対応を急遽迫られています。
加えて、こうした金融機関の労力にも関わらず、「マイナス金利導入」が急激な「株安・円高」を誘引したとの報道が多く、「マイナス金利」の評判をさらに落とす結果になっています。
■ヘッジファンドの狙い撃ちで「急速な株安・円高」を誘引
ただ、米ドル/円の115円からの急落は、2月の日経225オプションのSQ(※)を利用して、ヘッジファンドに狙い撃ちされたと言われています。
(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。株価指数先物は3月、6月、9月、12月の第2金曜日、オプション取引は毎月第2金曜日がSQ算出日となっている)
【参考記事】
●3月株価暴落をジム・ロジャーズが警鐘!NYダウ下落なら本格的なリスクオフ相場に(2月16日、西原宏一&松崎美子)
2月12日(金)は日経225オプションのSQ。
SQ前日はマーケットが荒れる傾向にあるのですが、今回のSQ前日は日本市場は建国記念の日の祝日で休場、中国も春節(旧正月)で休場であったため、流動性が枯渇する中、ヘッジファンド勢に狙い撃ちされ、急速な株安・円高を誘引したと言われています。
実際、今回、日経平均のSQ値は1万5156円という安値で終わっています。そしてSQ値が安値で決まったあとは、日経平均と米ドル/円が反発しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
ただ、今回の「急速な株安・円高」の流れは、「日銀のマイナス金利導入」後に起こっていることも確かであるため、当局も対応に追われています。
前回のコラムでご紹介したように「介入」を示唆するコメントも多数。
【参考記事】
●行き詰まったアベノミクス。ヘッド&ショルダー完成のドル/円は105円台へ下落の公算(2月12日、西原宏一)
加えて、本邦年金と思われる大口の日本株の買いが持ち込まれ、前述のヘッジファンド勢の買い戻しも加わり、「日経平均と米ドル/円」はなんとか値を戻しています。

(出所:株マップ.com)
■センチメント悪化を改善するには各国の協調が必要
こうしたセンチメントの悪化を改善するには、本邦当局の単独介入という一時的な措置ではなく、各国の協調が必要です。
この点において、2月26日(金)~27日(土)に上海で開催されるG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)に注目が集まっています。
しかし今回、当局が死守しようとしていた重要なポイントが一度決壊していることから、マーケットの報道も下記のようにリスクオフのコメントが多数。
●ジム・ロジャーズも警鐘 戻り相場の限界点と「3月10日大暴落」説
●「現状は2007年より悪い」まもなく再来する世界経済危機シナリオ-OECD要人
●「2016年2月19日、米ドルは完全崩壊する」元連邦議会議員ロン・ポールの予言
加えて、今回の急速な「株安・円高」を引き起こしたのがSQ前後のタイミングでもあったため、来月(3月)のSQが無事乗り切れるかも不安視されています。
■今後のカギを握るのはNYダウの動向
そして、一番の注目が、米国株の動向。昨年(2015年)のチャイナショック時は、NYダウが1万7000ドルを割り込んだことが、リスクオフを加速させました。

(出所:CQG)
今回の急落は「日本株と米ドル/円」が急落したわりに、本丸であるNYダウが下げきれないため、さらなる急落を避けられています。
先週(2月8日~)のNYダウはザラ場では200週移動平均線を割り込んだものの、チャイナショック安値である1万5370ドルは死守したことで、今週(2月15日~)は大きく反発。2月17日(水)は1万6453ドルまで反発し、引けています。

(出所 CQG)
本丸であるNYダウが安定していれば、「日本株・米ドル/円だけ続落」という流れは続かないのですが、仮にNYダウが、昨年(2015年)のチャイナショック時の安値を割り込むようだと、昨年(2015年)同様、マーケットが大きく動揺する可能性が高いため、注目が集まっています。
リスクオン、リスクオフのカギを握るNYダウの動向に注目です。
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