■ドラギ・バズーカどころか、ドラギ・核爆弾炸裂!
昨日(3月10日)、「ドラギ・バズーカ」は炸裂した。ECB(欧州中央銀行)は主要3金利の利下げを実行し、QE(量的緩和策)規模と買い入れ範囲の拡大も同時に実施した。
ここまで踏み込むと、いつもの「ドラギ・マジック」はもとより、「ドラギ・バズーカ」という言い方でも軽く感じるほどだ。緩和戦争の最終兵器、つまり核爆弾が持ち出されたという市場関係者がいるくらいである。
この決定に反応し、ユーロは取りあえず暴落し、たった数分でユーロ/米ドルは120pipsの下落を記録、東京時間22時40分前後に1.0820ドルの安値に達した。ユーロの下落と相俟って、金は1236ドルの安値をつけ、ユーロ/円も100pipsを超える下落を記録した。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
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ウォール街は総じてECBの利下げを想定していたものの、3つの金利(リファイナンス金利、上限金利の限界貸出金利、下限金利の中銀預金金利)の同時利下げをビッグサプライズととらえ、シティバンクは緊急ストラテジーを出し、ユーロ売りを推薦したほどだった。同ストラテジーは以下のとおりだった。
●1.0879ドル前後ショート、ターゲットは1.0400~1.0500ドル、ストップは1.1080ドル
しかし、このストラテジーを見て、筆者は違和感を覚えた。
なぜなら、ユーロは急落したものの、マーケットが本当にECB政策をもってユーロ売りを仕掛けるにしては、なお物足りないと感じていたからだ。
また、少なくとも1.08ドルの節目を割らない限り、ユーロ安一辺倒とは言えず、また、実際、1.08ドルの節目はなかなか割れなかったから、言われるほどマーケットにはユーロの安値を追う勢いが感じられなかった。
何しろ、1.08ドルの節目は心理的大台であるほか、マーケットのサポート密集エリアであるから、この節目を下回ることが先決条件であった。
■ドラギ氏の「余計」な一言で相場は大逆転!
その上、筆者は今年(2016年)の為替の動向が中央銀行の思惑の逆に動く(2016年2月19日コラムをご参照)と考えているから、ドラギさんの会見で何らかのメッセージが発信され、相場の逆転をもたらすのでは…と期待していた。そのとおり、ドラギさんは期待を裏切らず、「余計」な一言で相場の大逆転を引き起こした。
【参考記事】
●2016年は「中銀の裏に道あり、花の山」。為替は中央銀行の思惑と逆に動く!(2016年2月19日、陳満咲杜)
氏は「一段の金利引き下げが必要になるとは思わない」と言い、日銀が導入している預金金利の階層構造の可能性も否定した。
これ受け、マーケットは一斉にユーロショートポジションを手仕舞い、今度は逆に壮大なショートポジションの踏み上げが見られた。状況は昨年(2015年)12月のECB会合後とそっくりであった。
シティバンクさんのストラテジーが…
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