■上海合意の信ぴょう性増し、米ドル安要因に…
新年度入りした為替マーケットでは、米ドル/円が続落。

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その背景には、前回コラムでご紹介した原油が200日移動平均線で上値を抑えられ、反落したこともありますが、さらなる米ドル安要因は、上海合意。
【参考記事】
●4月以降、国内は円安材料満載。それでもドル/円が105円へ下落する展開はある?(3月31日、西原宏一)
上海合意とは、2月26日~27日に上海で開催されたG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)において、非公式ではあるのものの為替市場でのゲームチェンジとなる合意が交わされたのではないか?というマーケットの憶測。
その内容は以下の2点。
・FRB(米連邦準備制度理事会)は資源国の通貨や株の暴落をさけるために利上げを急がないという国際公約をした
・中国人民元の切り下げを含め、各国の通貨安戦争を回避する
当初、この上海合意は、1985年のプラザ合意と同様の文脈で報道されたこともあり、一部のマーケット参加者の憶測にしか過ぎなかったのですが、信ぴょう性を増したのが、まず、3月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)でなされた、イエレン議長の声明でした。
■イエレン議長のハト派声明を受けて米ドル下落
3月は多くの米地区連銀総裁がタカ派なコメントを繰り返し、米国では2015年12月に続き、FRBの利上げ期待が高まっていました。
その状況下、3月末に開催されたFOMCで、イエレン議長が想定以上にハト派的なコメントをしたことが報道されます。
この報道は、前述の「FRBは利上げを急がないという国際公約をした」とのマーケットの憶測と合致します。
マーケットでは、米国の連続利上げを織り込みつつあったため、このコメントにより、米ドルは反落。

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米利上げ予測の後退により、米国株は続伸。

(出所:CQG)
ここまではリスクオンの流れですが、一方、日本株は反落。

(出所:株マップ.com)
イエレン議長のハト派コメントを受け、対円でも米ドル安が進行。
日本株は「米ドル安・円高」への耐久性がなく、円高により日経平均はあっさり反落。
この日本株の円高への耐久性のなさは、4月1日(金)に発表された日銀短観も大きく影響しています。
4月1日(金)に発表された日銀短観で大企業・製造業の経常利益見通しは、2016年度はマイナス1.9%と減益見通し…。さらに、この業績見通しの前提として使われている為替レートは117円。
発表された時の米ドル/円の為替レートは111円台でしたので、乖離幅は6円。仮にさらなる円高となると企業の減益幅が大きくなることから、この局面では通常以上に、日本株は円高に対する耐久性がなかった状態とも言えます。
急激な為替の変動に対しては、当局が「介入」という手段をとるとも言われていますが、こちらも後述の安倍首相へのインタビューにより否定され、4月6日(水)の欧米市場で、米ドル/円は110円の大台をあっさり割り込んでしまいます。

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急速な円高のきっかけは、次のとおり、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が安倍首相へ…
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