■安倍首相が米国に向けて「介入はしない」と宣言?
急速な円高のきっかけは、次のとおり、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が安倍首相へ行ったインタビューの内容。
安倍首相はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、ここ数カ月の円高傾向や人民元の下落、その他の主要通貨の不安定な動きについて、「通貨安競争は絶対避けなければならない」とし、「恣意的な為替市場への介入は慎まなければならない」との認識を示した。
(出所:WSJ)
このコメントは前述の上海合意での「通貨安戦争はさける」と合致します。
このインタビューを行ったのが米国のウォール・ストリート・ジャーナルであったということもポイントです。
安倍首相が米紙を使って、つまり、米国に向けて、上海合意にもとづいて「介入はしない」と宣言したという意味に受け取れるからです。
当初は懐疑的であった為替市場でも、前述の「イエレン議長のハト派コメント」と「安倍首相の『介入は慎む』というコメント」が報道されたことにより、上海合意は実際になされたという信ぴょう性が増すことになります。
■米ドル/円は109円割れ。106円、100円も視野に…
結果、ある程度の米ドル高抑制が上海合意でなされたのではないかという憶測のもと、今週(4月4日~)は米ドル安が加速。
本邦執筆時点では、米ドル/円は109.00円の大台も割り込んでいます。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 30分足)
そして、米ドル/円の調整があるとの仮定に基づくと、問題はその調整幅。
10%だと米ドル/円はもう調整が終わっていますが、10%というのは通常のマーケットでも乱高下する範囲。
それでは、米ドル/円はどの程度調整するのかということが問題になります。
10%というのは、通常のボラティリティでも変動するレベルなので、調整であれば15%以上ということになります。
米ドル/円は高値となる125円台からの15%であれば106円台、20%になれば100円水準という数字も見えてきます。
(出所:CQG)
原油も反落に転じ、中東勢も現金化するために日本株の売却を急いでいるという報道もあり、下落に拍車がかかった米ドル/円と日本株の動向に注目です。
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