昨日は英米がともにお休みで、市場は静かなのが予想された。しかしアジア時間で早々にドル円が上がってきて、111円台に乗せてきた。これは言うまでもなく、日本固有の材料である。だからユーロドルを見ればわかる。
金曜日のイエレン議長の利上げ容認発言が原因であれば、ユーロドルも100ポイント下がってもいいからだ。動いているのはドル円やユーロ円だけである。ここからドル円を買ってロングでついていっていいのかどうかが問題なのである。
いよいよ消費増税の先送りが決定的になってきた。先週のサミットでは今の経済状況がリーマンショックと同じだといったことで、それが裏付けとなっているようだ。世界がそう認識しているのだから、日本も増税なんかしていられないというわけだ。リーマンショック級か、大震災でも来ない限りは、増税は再延期しないと公約していたからだ。
しかし世界は本当に経済危機にあるのだろうか。これは子供が考えても答えはわかる。米国株は歴史的な最高値圏にあり、しかるに6月にも利上げがあるかどうかが市場の関心である。また欧州はマイナス金利を採用しているとはいえ、株価はとても高い。
だから現状の認識に大きなずれがあり、サミットが単なる政治利用されたということが明白になった。ドイツやイギリスの首相は今回のコミュニケについて苦い顔をしているように見える。
予定されていた増税の先送りは何をもたらすのだろう。すでに組み込まれている社会保障の充実などでお金の使い道は決まっている。それがなくなるのか、もしくは国の借金をさらに増やすしかない。そして国の借金は誰が返すのかである。
言い古された言葉だが、孫子の代から借りてくることになる。現況の社会保障の手当てを、まだ生まれてもいない人々に負担させるということだ。増税は誰でも嫌だが、真剣に社会や国家のことを考えて政治をしているのか、ちょっと不審に思えてくる。
そして問題は、これが今後のマーケットにどのように影響を与えるかだ。政府はアベノミクスの再来を期待して株価高騰を期待しているのかもしれないが、果たしてその通りに動くものかどうか。昨日の週明けのマーケットでは日本円の全面安となって反応が現れたが、ユーロドルの下落を伴わないドル円の上昇には限界があるようにも思える。
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