アメリカの雇用統計を控えて、金曜日の欧州時間ではややリスクテーク気味に進んだ。雇用統計の事前予想があまり高いものでないために、かえってよかったらどうしようというサプライズ期待である。欧州序盤からドル円は買いが進んで、109円台を回復。昼間までに売りこんでいた短期筋のポジションは、そのほとんどがほぐれた格好である。
しかし私は雇用の結果が悪くても良くても、リスクオフの動きにならざるをえないだろうと見ている。悪ければ素直に株価の下げとドル円の下げは迫りくるだろうし、良くても6月利上げは決定的ということで株価にはマイナス材料だからである。それで発表直前にはドル円を売っておきたいと思った。
ドル円の109円台での値保ちは悪く、発表直前には108.90くらいとなって下がってきた。それでも構わずショートで勝負。下がってきたのだからストップロスは置きやすい。朝からのドル円の高値が109.13だったので、109.15で買い戻す予定。これで指標を待つ。ちなみにグローベックスでの米国株も、ナイトセッションでの日経先物も、日中の最高値圏でステイしている。それだけ良い結果を期待してのことである。
結果はとてもひどかった。就業者数は16万から17万人の増加が見込まれていたのに、3万人ほどにとどまった。これほどのギャップがあるのは、かなりの久しぶりの出来事だ。中身を考えるよりも、とりあえずドルを売っておけという意欲が強く働いた。ドルは急落。
ユーロドルもドル円も150ポイントほどもドル安が進んだ。ドル円は107円台に突入したが、107.80あたりを底にした感じで一段安しない。戻ってはいないのだが、下げが激しかった分だけ、ショートカバーもきついかもしれない。そう思うと自分のポジションが大事になり、利食い千人力をしてしまった。
確かに1円ほども抜けたので成功といえば成功なのだが、ここは我慢してしっかりと持つべきところだったかもしれない。なぜならば次のアクションとして、また売り場を探して売りこんでいかねばならないからである。
肝心のドルの短期金利はどうなっているかというと、先物価格は金利に直して15ベーシスポイント分ほども低下している。0.25%の6月利上げのうち、そのほとんどが吹き飛んでしまった格好だ。111円台まで買い進んでしまった流れの反動が出てきているといっても過言ではない。
ドル円は何回か売ってみては買い戻す。それを繰り返しているうちに107円台の前半まで到達。さすがにこのあたりまでかなと思っていたが、23時のISM指数を契機に107円ちょうど割れを喫した。その後はドルの回復はまったく見られず、そのままニューヨーク時間ではドルの全面安のまま、しかもドルの安値引けとなった。
今週は6月利上げのあるなしの議論が、もっと深まりそうだ。特に今晩はイエレン議長のスピーチもある。そこから微妙なニュアンスを読み取ろうとするだろう。しかし今となってはマーケットでは6月利上げはないものとして価格に織り込まれており、利上げに必要性でも主張しない限り、サプライズではない。つまり市場は反応しないだろう。
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