■米次期財務長官に元ゴールドマンのムニューチン氏
そして、11月30日(水)に報道された次のニュースが米ドルをさらに底堅く推移させることになります。
米ドル買いを加速させることになりそうなのが、米次期財務長官人事。米次期財務長官はゴールドマンサックス出身のムニューチン氏となることが発表されました。
トランプ次期米政権で財務長官に指名することが発表された、ゴールドマンサックス出身のムニューチン氏。果たして、米ドル買いが加速することになるか… (C)Bloomberg/Getty Image
ムニューチン氏はゴールドマンの元パートナーで、その後はヘッジファンドを創設。著名投資家のジョージ・ソロス氏の下で働いたこともあるとされ、ハリウッド映画の資金調達に携わったこともある。
株式市場はウォール街出身の財務長官が誕生すれば、金融規制緩和などが進むとみており、足元の株高の要因ともなってきた。
出所:Bloomberg
この人事は株高とともに、米ドル高も連想させます。
ANZの吉利氏は、次期米財務長官候補にムニューチン氏が挙がっていることについて、「これまで基本的に金融出身の財務長官はドル高を容認する傾向にあることへの期待」がある。
出所:Bloomberg
そして、ムニューチン氏自身も米国経済の成長率を2倍にできるとコメント。
減税で米経済の成長率2倍にできる-雇用拡大に意欲
トランプ次期米大統領が財務長官への起用を決めたスティーブン・ムニューチン氏は、経済成長率を現行のほぼ2倍に引き上げることを狙った経済政策の概要を明らかにし、税制改革を最優先事項にすることで雇用を拡大する意欲を示した。
ムニューチン氏は30日、商務長官に起用された資産家ウィルバー・ロス氏と米CNBCのインタビューに応じた。ムニューチン氏は法人と中間所得層を対象にした減税、規制緩和、インフラ投資、2国間の貿易協定を通じて米国は3-4%の経済成長を達成できると述べた。
2007ー09年のリセッション(景気後退)後の拡大局面で、米経済成長率は年率平均2.1%となっている。
ムニューチン氏は「法人税を引き下げることで米国に大量の雇用が戻ってくる」と述べ、「中間層にも大幅減税を実施する。しかし富裕層を対象にした減税は、その財源としての控除縮小によって相殺される」と続けた。
出所:Bloomberg
■モルガン・スタンレーは米ドル/円を来年の注目通貨ペアに
前述のように、米ドル/円の上昇トレンドを支える材料は変わらず。
そして12月に入り、多くのグローバルバンクが2017年の為替予測を出し始めています。
ここでご紹介させていただくのが、モルガン・スタンレー。
モルガン・スタンレーは今年(2016年)の英ポンド/円の急落も予測しており、毎年、個人的に注目しています。
モルガン・スタンレーによると、来年(2017年)の為替市場でもっとも注目すべき通貨ペアは「米ドル/円」。そして、2017年の年末は125円との予測。
(出所:CQG)
当コラムでは、Brexit(英国のEU離脱)時に到達した99.02円という安値で米ドル/円はボトムアウトし、上昇トレンドに回帰するとのスタンスを過去2カ月維持していますが、モルガン・スタンレーの予測も同じ。
【参考記事】
●日銀の「指値オペ」、その真の意味とは? ユーロ/米ドルは超長期サポート割れ寸前(11月22日、西原宏一)
ムニューチン氏が米次期財務長官に指名されたことで、さらに底堅くなった米ドル/円相場。120円に向けて上昇を続ける米ドル/円に注目です。
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