昨日はアメリカの雇用統計であった。しかしすでにこれから行われる12月利上げは市場で完全に織り込まれてしまっているので、結果がどうあっても金融政策は動かない。
だから興味もかなり薄れてしまっているというのが実情だ。そういう理由だけでもないだろうが、雇用統計スル―ではマーケットはダイナミックに動かなかったといえる。
就業者数は17万8千人の増加となって、ほぼ予想通り。しかし失業率は4.6%となって、かなりの改善となった。0.3%ポイントも改善したとなると、この数字の怪しさも感じられるほどだ。
そこで仕事の量よりも質を見るということで平均時給に目がいったが、それはマイナスの0.1%だった。これは最近では見ないほどの悪い賃金の伸びである。マーケットはどちらかというと、この時給のほうに反応したようだ。
ファーストアクションとして、まずはドル売りに。そこからすぐにドルの買い戻しが入った。そのショートカバーの段階でドル円は昼間の高値も瞬間的に超えてきた。つまり雇用統計の発表後の10分で、1日のレンジをすべてやってしまったわけだ。ユーロドルもドルとしてはドル円と同じ動き。
そしてずっと1.06台のままだった。値動きは狭いものの、ニューヨーククローズを迎える頃になると、ややリスク回避の動きが鮮明になった。米国株は垂れてきて、長期金利も低下。ドルの全面安ということになった。週末に至りの国民投票も控えているからだろう。
今週はマーケットでのイベントがたいへん少ない。したがって引き続きトランプラリーが継続するのかどうかが市場の関心となる。あとは原油価格。OPEC絡みで原油相場が持ち上がっているが、50ドルから52ドルの間で足踏みしている。
これは10月にもつけた戻し高値のレベルである。原油生産の設備をフル稼働した状態からの減産だから、あまり相場に影響を与えないはずであるが、それが価格下落という形をとって現れると、市場全体に不安感をもたらす要因になるかもしれない。
また国民投票を受けてイタリアの首相が早々に辞任を表明し、ユーロドルは今年の安値を更新したユーロの動きも要ウォッチである
日本時間 15時30分
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