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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

トランプ氏が円安黙認? そのワケとは…!?
2017年もドル/円上昇トレンドに変化なし

2017年01月05日(木)17:33公開 (2017年01月05日(木)17:33更新)
西原宏一

FXトレーダー・羊飼いに聞く、初心者におすすめのFX口座の選び方とは?

■日経平均は4年ぶりの上昇でスタート

 あけましておめでとうございます。

 本年もよろしくお願いします。

 振り返ってみれば、2014年から2016年の日経平均は下落でスタート。

 とくに2016年は大発会で日経平均が580円安、そこから6日連続安という歴史的な下げでスタートしました。

2015年11月~2016年3月の日経平均 日足
日経平均 日足

(出所:Bloomberg)

 それが示唆するように、2016年の秋まで、日本株は総じて軟調な展開でした。

 マーケットでは「アベノミクスの終焉か?」という報道が飛び交っていました。

 そこに日銀が満を持して、2016年9月に追加緩和を導入。これにより日本株の下値は限定的となり、底堅く展開。

【参考記事】
日銀決定はテーパリングへの道?それともヘリマネ? 米ドル/円は底固め後、反発へ(2016年9月29日、西原宏一)
マイナス金利の深堀りはなく相場乱高下! 日銀は金融政策の何を変更したのか?

■日銀の追加緩和を為替が台無しにする?

 ただ、日銀の追加緩和を台無しにしてしまいそうなのが為替。

 いくら日本株が底堅くなっても、米ドル/円が100円を割り込むような円高になれば日本株も反落してしまいます。

【参考記事】
2017年に起こり得るブラックスワンとは? 日本株の「掉尾の一振」は期待できるのか?(2016年12月26日、西原宏一&大橋ひろこ)

 結果、アベノミクスにとって最大の課題は「為替政策」ということが金融関係者の間で共通の話題となりました。

 ただ、為替は相手国のあることなので、安倍政権は米国に対してかなり高度な交渉が必要だといわれていました。

 はたして安倍政権は、「米国に対してある程度の円安を容認させることができるのか?」がマーケットの焦点となっていました。

■トランプ氏の円安黙認は本邦当局の外交成果?

 その答えが、2016年12月27日(火)の菅義偉官房長官のインタビュー

 12月27日(火)、マーケット関係者の注目を集める記事を日経新聞が報道しました。

為替、危機管理怠らず 菅・内閣官房長官

「為替に関しては(トランプ相場で)黙って(円安に)なったと言われるが、私たちが為替の危機管理をちゃんとやっているからだ。今まで日本は翻弄されてきた」

――具体的にどんな対応がとれますか。

「そこは色々と。私たちの為替への意識は強く、中途半端な決断ではない」

出所:日経新聞

 昨年(2016年)秋、米ドル/円が100.00円という節目を何度か割り込んだものの、執拗な米ドル買いが持ち込まれ、なんとか100円を死守してこられたのは安倍政権の意向がなんらかの形で反映されているのであろう?というのがマーケットのコンセンサス。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足

 ただ当局自ら、為替に対する決意をコメントするのは異例であるため、マーケット関係者の注目を集めることになりました。

 この件に関して、野村證券の池田氏は下記のようなコラムを配信しています。

トランプ氏の円安黙認は外交成果か=池田雄之輔氏

ここで言う「為替の危機管理」とは何なのだろうか。真っ先に思いつくのは市場急変に際しての為替介入だろう。しかし、政府は、英国民投票、米大統領選挙のそれぞれの開票時(日本時間6月24日、11月9日)に1ドル=99円台、101円台という円高に見舞われた際、円売り介入を打ち出していない。それどころか、「断固たる措置を取る」「円の動きは無秩序だ」といった強いトーンでの口先介入すら、自重している。

一方、日銀の長期金利固定戦略は、米金利上昇時の日米金利差拡大、ドル円上昇を増幅させる働きを担っているが、これは政府の管轄外である。では、菅官房長官はなぜ円安が棚ぼたではないと強く反論したのだろうか。具体的な措置については言葉を濁したものの、恐らく、我々の目に触れない、水面下での粘り強い外交努力への自負心があってこその発言だろう。

出所:ロイター

 こうした意見が的を得たものであれば、米ドル/円の下値は限定的となり、米大統領選挙をきっかけに上昇に転じた米ドル/円の上昇トレンドは2017年も不変ということになります。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(出所:Bloomberg)

■米ドル/円は高値追いせず、押し目買い継続

 ただ気をつけたいのが、現状の米ドル/円のレベル。

 11月の米大統領選挙以降、短期間ですでに約18円もの高騰を演じている米ドル/円相場ですので、トレードに関しては高値追いはせず、ていねいに押し目を拾っていきたいところ。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

 今回の急騰劇は、本邦当局の外交成果でトランプ氏の円安黙認を引き出しているという意見まで出ている米ドル/円相場。

 2017年も米ドル/円相場に注目です。


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