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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

2017年に起こり得るブラックスワンとは?
日本株の「掉尾の一振」は期待できるのか?

2016年12月26日(月)17:25公開 (2016年12月26日(月)17:25更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■「掉尾の一振」への期待は高まりすぎか

日本株の関係者の間で高まっているのが、年末に向けて株価が上昇する「掉尾の一振」(とうびのいっしん)への期待。

日経平均 日足
日経平均 日足

(出所:株マップ.com

大和証券のレポートによると、年末5営業日で株価が上昇したケースが過去20年のうち17回もあるそうです。

掉尾の一振、たしかに期待していたんですが、米ドル/円は12月14日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)直後に115円台から118円台へ急騰。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

日本株も1万9000円台を回復しています。すでにこれだけ上昇していると、掉尾の一振の余地は小さいかもしれないですね。

ここから高値を買うのは怖いですよね。私も下で買った米ドル/円のコアポジションは残していますが、上で買った分は手仕舞いました。

今日、12月26日(月)はクリスマスの振替休日のため、ほとんどのFX会社で午後には取引が終了するようですし、今週(12月26日~)はムリにポジションをとる必要はないでしょう。

【参考記事】
えっ!? 2016年のクリスマスは12月26日!? 2017年元旦は1月2日!? 取引時間に注意!


■日銀と自社株買いで株高・円安へ

日経平均が年足陽線となったように、米ドル/円も年足陽線への転換を期待しましたが、そろそろ時間切れ…。


年初の米ドル/円は120.20円ですから、年足が陽線となるにはここから3円の上昇が必要。さすがにもう難しいかもしれません。

【参考記事】
米ドル高のスピードに市場参加者も驚愕! 来年のドル/円は130円へ上昇の可能性も(12月15日、西原宏一)

今年(2016年)の日本株は日本銀行が最大の買い手だったそうです。その金額は12月半ばまでで4.3兆円。


米ドル/円が陰線、日本株が陽線と分かれたのは、日銀の影響が大きいのかもしれないですね。

米ドル/円(上)&日経平均(下) 年足
米ドル/円(上)&日経平均(下) 年足

(出所:Bloomberg)

さらに日本株では自社株買いも4兆円から5兆円ほど出ていて過去最高ペース。日銀と自社株買い――2つの要因から来年(2017年)の日本株も強気な予想が多いようです。


日本株が強気なら、米ドル/円も100円を割れるような円高は考えづらいですよね。

当局としても為替の重要性が身にしみた1年だったかもしれません。


今年(2016年)の日経平均は1万6000円前後でのもみ合いが長く続きました。その間の米ドル/円は100円割れを試していた時期。


いくら日銀が買っても米ドル/円が100円前後だと日本株は上がれない。逆に言えば、100円割れの恐怖さえなければ日本株は上がるということになります。

■ブラックスワンは「第二次プラザ合意」!?

だからこそなのか、黒田日銀総裁も先週(12月19日~)の記者会見では、11月からの急激な円安に対して「今年2月時点に戻っただけ」と、何の警戒感も示しませんでしたよね。

むしろ懸念が高まっているのは米国側の米ドル高警戒。

 

来年(2017年)の「ブラックスワン」(※)として、「第二次プラザ合意」が懸念されています。


米国内の雇用に悪影響を及ぼすようなレベルまで米ドル高が進めば、何らかの米ドル高是正策が浮上するかもしれません。まだ先の話でしょうが…。

(※黒い白鳥のようにありえないと思われるが、実際に起きるとインパクトの大きなイベントのこと)

【参考記事】
2017年のドル/円は調整あっても130円へ! リスクオフの円高が継続しないワケとは?(12月22日、西原宏一)

目先で調整があるとしたら1月20日(金)の米大統領就任式前後、でしょうかね。

あるいは年末を控えた今週(12月26日~)とする見方もありますね。


来年(2017年)の「130円・パリティ(1.0000ドル)」に向けた中期戦略として米ドル/円は買い、ユーロ/米ドルは売りですが、越年ポジションは高値を追わず、押し目を待ったほうがよいでしょうね。


■年末年始はスプレッドの拡大に要注意

気になるのが、先週、12月19日(月)の対談でも話した豪ドルの下落。

【参考記事】
豪ドルを買う理由がなくなってしまう!? 米ドル/円は「買い遅れ組」の動きに注目!(12月19日、西原宏一&大橋ひろこ)

とくに豪ドル安の材料も見当たらないため、中国人民元の下落に引きずられているのかなと思います。

中国人民元/米ドル 日足
中国人民元/米ドル 日足

(出所:Bloomberg、通常の通貨ペアは米ドル/中国人民元だが、逆転して表示させている)

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足

(出所:Bloomberg)

中国人民元が下落すれば金に流れる資金もありそうですが、一方では中国では金の輸入に制限がかけられているとの話が出ていて、金価格は軟調。

NY金先物 日足
NY金先物 日足

(出所:Bloomberg)

金の代替として買われているのがビットコインなのか、米ドル建ては1000ドルに近づいており、円建てでは10万円を越えてきました。

ビットコイン/米ドル 4時間足
ビットコイン/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/米ドル 4時間足

ビットコイン/円 4時間足
ビットコイン/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/円 4時間足

米ドル高なら金は苦しいでしょうしね。


まとめると、今週(12月26日~)は調整に警戒しながら、来年(2017年)の米ドル高に向けて押し目があれば米ドル/円の買い、あるいはユーロ/米ドルの売りを仕込んでいきたいところ。


ただ、年末年始は市場が薄くなる。スプレッドも拡大しやすいですから、タイトなストップだとすぐについてしまう可能性が高まります。ムリにトレードする必要はないでしょう。

早いもので、この連載が始まってもう半年が経ちました。いつもご愛読、ありがとうございます。

2017年の更新は1月9日(月)からとなります。来年もよろしくお願いします。

(構成/ミドルマン・高城泰)

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