■トランプ氏の円安黙認は本邦当局の外交成果?
その答えが、2016年12月27日(火)の菅義偉官房長官のインタビュー
12月27日(火)、マーケット関係者の注目を集める記事を日経新聞が報道しました。
為替、危機管理怠らず 菅・内閣官房長官
「為替に関しては(トランプ相場で)黙って(円安に)なったと言われるが、私たちが為替の危機管理をちゃんとやっているからだ。今まで日本は翻弄されてきた」
――具体的にどんな対応がとれますか。
「そこは色々と。私たちの為替への意識は強く、中途半端な決断ではない」
出所:日経新聞
昨年(2016年)秋、米ドル/円が100.00円という節目を何度か割り込んだものの、執拗な米ドル買いが持ち込まれ、なんとか100円を死守してこられたのは安倍政権の意向がなんらかの形で反映されているのであろう?というのがマーケットのコンセンサス。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
ただ当局自ら、為替に対する決意をコメントするのは異例であるため、マーケット関係者の注目を集めることになりました。
この件に関して、野村證券の池田氏は下記のようなコラムを配信しています。
トランプ氏の円安黙認は外交成果か=池田雄之輔氏
ここで言う「為替の危機管理」とは何なのだろうか。真っ先に思いつくのは市場急変に際しての為替介入だろう。しかし、政府は、英国民投票、米大統領選挙のそれぞれの開票時(日本時間6月24日、11月9日)に1ドル=99円台、101円台という円高に見舞われた際、円売り介入を打ち出していない。それどころか、「断固たる措置を取る」「円の動きは無秩序だ」といった強いトーンでの口先介入すら、自重している。
一方、日銀の長期金利固定戦略は、米金利上昇時の日米金利差拡大、ドル円上昇を増幅させる働きを担っているが、これは政府の管轄外である。では、菅官房長官はなぜ円安が棚ぼたではないと強く反論したのだろうか。具体的な措置については言葉を濁したものの、恐らく、我々の目に触れない、水面下での粘り強い外交努力への自負心があってこその発言だろう。
出所:ロイター
こうした意見が的を得たものであれば、米ドル/円の下値は限定的となり、米大統領選挙をきっかけに上昇に転じた米ドル/円の上昇トレンドは2017年も不変ということになります。
(出所:Bloomberg)
■米ドル/円は高値追いせず、押し目買い継続
ただ気をつけたいのが、現状の米ドル/円のレベル。
11月の米大統領選挙以降、短期間ですでに約18円もの高騰を演じている米ドル/円相場ですので、トレードに関しては高値追いはせず、ていねいに押し目を拾っていきたいところ。
(出所:Bloomberg)
今回の急騰劇は、本邦当局の外交成果でトランプ氏の円安黙認を引き出しているという意見まで出ている米ドル/円相場。
2017年も米ドル/円相場に注目です。
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