■米ドルの下値ターゲットをどのように推測したか
実際、昨日(2月2日)のザラ場でも、米ドルの下値が限定的なものになることは推測できたはずだ。筆者の昨日(2月2日)のレポートでは、下値ターゲットの推測を内部構造に沿ったロジックをもって書いたから、開示しておきたい。
(出所:Bloomberg)
ドルインデックス・限界を探る
ドル安は続いている。しかし、ドルの反落、すでに最終段階に位置、また反落の限界に差し掛かっている、という見方は不変。新年に入ってからの内部構造を再点検し、同見方を検証しておきたい。
新たなカウントでは、昨年12月15日高値ではなく、先月3日高値の103.82をこの前の上昇波のトップと数え、同高値から反落波が展開してきたとみる。この場合、大型ウェッジといったフォーメーションの構築自体は変わらないが、内部構造のほう、ダブルジグザグ変動
として見直される。
同カウントでは、W-X-Yといった変動子波にうち、WとYは推進子波と数え、子波自体のジグザグ構造に鑑み、a≒c、即ち値幅が概ね同等という変動リズムが確認される。同じ計算では、99.00~99.30前後は今回の下落ターゲットとして得られるから、下落余地が限られると見る。(※1≒2、3≒4)
もっとも、同計算値が示す下値ターゲット、大型下落ウェッジの下限ラインと合致しているから、蓋然性が高いと思われる。近々底打ちのサインがあれば、ドルの反騰を見込める。
■クロス円の動向が今後の米ドルの大きなヒントに
このようなロジックが正しければ、完全に一致ではないが、基本的に米ドル/円は112円の節目前後にて調整波(反落)を完成した公算が高く、また、ユーロ/米ドルは1.08ドル前半にてすでにリバウンドの限界を探った可能性が大きいとみる。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
その上、これからはクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の動向が大きなヒントを示唆してくれると思う。何しろ、巷でトランプ政権の船出が大きなリスク要素と解釈され始めた今、本当にリスクオフになれば、クロス円は総崩れになっていくはずだ。
逆に言えば、クロス円が堅調に推移していくなら、トランプ政権の新政がたちまちリスク要素にはならないと思う。筆者の主張が後者の方であることは言うまでもないが…。
■本日の米雇用統計は米ドル全体反発の好機か
本日(2月3日)は米雇用統計があって、実は米ドル全体反発の好機だとも思う。もちろん、事前に米雇用統計の中身を予想できる人はいないから、筆者の感触は、あくまで経験則である。
マーケットは上にいくにしても、下にいくにしても、なんらかのイベントをもって大きく転換する習性をもっているが、あとからみればわかるように、イベント自体は二の次だ、というケースが多い。
昨年(2016年)1月末、日銀のマイナス金利導入決定後の相場は記憶に新しいから、本日(2月3日)夜は、一層相場のシグナルを見逃せない。市況はいかに。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)