先週の金曜日はアジア時間でリスク回避の流れが強まった。アメリカがシリアにミサイル攻撃を開始したのだ。もちろん化学兵器の仕様に対する報復だ。しかしアメリカ第一主義を唱えているトランプ政権にしては、世界の警察らしく振舞うのは奇妙な話である。
それでも地政学的なリスクの高まりが意識され、ドル円は下落。業者によってそれぞれ違うくらい不安定な相場をやっていたのだが、安値は110.10前後までとなっているようだ。今年の最安値といったら聞こえはよいが、1円も落ちていないのである。
これだとショートカバーも気にかかるところだ。私としてもドルロングで攻めたいと感じていた。東京クローズ後もドル円が一段安をしないので、マーケットでは目先の安心感が漂ってきた。そしてアメリカの雇用統計に向けてのリスクテークが始まったので、ドル円もナイトセッションでの日経先物も大きく値を戻してきた。
先日の民間調査で雇用環境が良いことを確かめられたので、そのフロントランニング的な動きでもある。私も110.55で買ってみたりしたが、指標の発表前にはポジションをクローズしておこうと思っていたので、あんまりポイント数は抜けなかった。
その雇用統計の結果はすこぶる悪かった。就業者数は18万から20万人くらいの増加が見込まれていたのに、10万人を割り込んでしまったのだ。それでドル相場は急落。米国株もグローベックスでは安値攻めから入ったのだが、いかんせん、アジア時間でもうすでにもっと安いレベルをやってしまっている。
つまり安値更新ではなかったのだ。あんまり深押ししないなという安心感も手伝って、すぐにショートカバーを誘うことになった。私は寝てしまっていたが、夜中にはダドリー総裁の発言がドル相場の一段高を誘発したようである。FEDのバランスシートの縮小が開始されても、利上げのペースは鈍らないだろうというもの。
現況ではこれはかなりタカ派的な発言にもとられる。それでドルは全面高となった。シリア攻撃や悪い雇用統計と、大きなドル売り材料の絶えなかった日であったが、結果として葉ドル相場が全面高のままニューヨーククローズを迎えた。
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