■日経リンク債が阻む日経平均2万円の壁
米ドル/円では110円台に入ると機関投資家のヘッジ外しやM&Aに備えた米ドル買いが出てくることもあって、急落するような感じはありません。
米10年債のポジションから見ても、110円から115円程度でのレンジを中心にしながらジリ高で推移するのかなと思います。

(出所:Bloomberg)
日本株では日経平均2万円が近くて遠いですね。あと100円が届かない。報道によると、2万円にタッチすると償還となる日経リンク債の残高が1兆円規模で設定されているようです。
2万円に行かせたくない力が強いのかもしれないですね。

(出所:Bloomberg)
先週(5月22日~)、OPEC(石油輸出国機構)総会があった原油はどうですか?
9カ月の減産延長となり、このコラムで話したとおり、材料出尽くしによるセル・ザ・ファクトの展開となりました。
【参考記事】
●FRB高官の発言で米6月利上げが濃厚に! ユーロ/ドルは節目の1.13ドルを超えるか!?(5月22日、西原宏一&大橋ひろこ)

(出所:Bloomberg)
以前は原油が急落するとアメリカのエネルギー関連株、ひいてはS&P500が下げることもありましたが、最近ではシェール企業が向こう2年分くらいのヘッジを完了しているようです。
そうであれば、原油急落による米国株下落への不安は薄れますよね。
■ユーロが調整する場面は押し目買いの好機
先週(5月22日~)、ユーロとともに目を引いたのが英ポンド。第1四半期GDP・改定値が1年ぶりの低さとなり売られました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足)
英ポンドは長期的な底をつけたと見ていますが、短期的には下値余地があり要注意。
ただ、昨年(2016年)には英ポンド/円が米ドル/円を牽引する場面が目立ちましたが、今はユーロ/円の影響のほうが大きいでしょう。
【参考記事】
●メルケル発言よりも本邦勢の欧州投資がユーロに追い風! 130円突破なら135円へ(5月25日、西原宏一)
イギリスでは来週(6月5日~)、8日(木)に総選挙を控えています。保守党の圧勝ムードでしたが、労働党の支持率が急伸したことも英ポンド売りを誘ったようですね。
総選挙をにらんで英ポンドは神経質な展開が続きそうです。
原油や英ポンドの下落を見るとリスクオフのようにも見えますが、株式市場は堅調。かといって株式市場が強いときに買われやすい豪ドル/円は軟調。
結局、リスクオフやリスクオンという文脈ではなく、次のテーマが出るまでのゴルディロックス=生ぬるい相場なのでしょう。
そんな中、テーパリング(※)という中長期的なテーマがあるユーロは買い目線継続ですし、ユーロ買いの相手通貨は米ドル/円がジリ高ならば円。
ユーロ/円がダブルトップをつけたこと、IMMではユーロが短期的に買われ過ぎであることから、ユーロ/円は調整する週かもしれませんが、押したところは中長期的な買いの好機だと見ています。
(※編集部注:「テーパリング」とは、米量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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