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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

ユーロ/ドルは節目の1.13ドルを超えるか!?
FRB高官の発言で米6月利上げが濃厚に!

2017年05月22日(月)18:03公開 (2017年05月22日(月)18:03更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■1ドル=115円抜けは3度目の失敗、上値は重い

マクロンラリーによるユーロ/円急騰が牽引して上昇していた米ドル/円ですが、「ロシアゲート」が注目されてきたことで5月17日(水)に急落しました。

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米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

米ドル/円は115円に届かずに反落したことで当面は上値が重たそうです。


今年(2017年)の動きを振り返ると2月、3月、そして今回と115円抜けのトライはいずれも失敗。115円がちょっと遠くなり、上値が重くなった展開ですね。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

どのあたりの水準まで下がりますか?

当面の下値は先週(5月15日~)のサポートであった110円。夏場くらいまでを見渡せばいったん108円割れを試す場面があるかもしれません。


ただ日米の金利動向からみて、米ドル/円が急落するシナリオは考えにくい。年末120円のターゲットは変えていませんが、目先は上値が重く、今週(5月22日~)はもみ合いでしょうか。

怖いのはロシアゲートですが、コミー前FBI(米連邦捜査局)長官の委員会証言は来週、5月30日(火)以降に行なわれる予定なので、今週(5月22日~)はいったん米ドルが買い戻されるかもしれませんね。


アメリカではトランプ政権となって初めての予算教書の発表が明日、5月23日(火)。

 

大型減税や財政出動などを反映した財政赤字や成長率の見通しが焦点です。


■FRB高官は6月利上げを織り込ませるか

今週(5月22日~)の予定を見ると、FRB(米連邦準備制度理事会)高官の発言機会が目立ちます。


本日、5月22日(月)はフィラデルフィア連銀総裁のハーカー氏とミネアポリス連銀総裁のカシュカリ氏、明日、5月23日(火)の朝にはブレイナードFRB理事とシカゴ連銀総裁のエバンス氏。


さらに週半ば以降にも講演予定が続きます。これがなぜ注目かといえば、最近のFRBを見ていると利上げ前にはFRB高官の発言によって織り込ませようとする傾向があるため。


つまり今週(5月22日~)、利上げに前向きな発言が目立つようなら6月利上げが濃厚となってくる。

写真はFRBのブレイナード理事。今週はFRB高官の発言が多いので、利上げに前向きな発言が目立つようなら6月利上げが濃厚となってくる (C)Bloomberg

写真はFRBのブレイナード理事。今週はFRB高官の発言が多いので、利上げに前向きな発言が目立つようなら6月FOMCでの利上げが濃厚となってくる (C)Bloomberg

一時は100%近くまで上昇した6月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ織り込み度ですが、足元では80%弱まで低下していますね。

6月13日(火)~14日(水)のFOMCで利上げするのなら、今週(5月22日~)あたりから織り込ませにいくでしょう。


利上げに積極的な発言が出れば米ドルは買われやすくなります。

米ドル/円 週足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足

■OPECは来年3月までの減産延長がコンセンサス

でも、アメリカは一昨年(2015年)12月、昨年(2016年)12月、今年(2017年)3月ともう3回利上げしていて、フレッシュさはないですよね。

たしかに昨年(2016年)12月、今年(2017年)3月と利上げするたびに高値を切り下げています。米10年債利回りも上がりにくくなってきました。

一部ではECB(欧州中央銀行)のテーパリング(※)観測が高まっています。

 

新鮮さという意味ではすでに3回利上げしているアメリカより、ユーロのほうが上。本当にテーパリングに動くのなら、ユーロは買われやすくなりそう。

(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

中長期的に考えればそうなりますね。ただ、ユーロについてはマクロンラリーの上昇に対する調整がそろそろ入るかなと思っています。


ユーロ/米ドルを見ると1.13ドルの節目が近づいている。1.13ドルは米大統領選当日、昨年(2016年)11月8日(火)につけた高値です。


ここを明確に超えてくるようならマクロンラリー継続と考えていいのでしょう。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足

(出所:Bloomberg)

アメリカが利上げできるかどうか、米国株の動向もポイントのひとつですが、ロシアゲート問題にもNYダウは大きく崩れていません。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

今週は、5月25日(木)にOPEC総会(石油輸出国機構)が開催されますが、来年(2018年)3月までの減産延長が合意される見通し。


減産延長を織り込む形でWTI原油が再び50ドルの大台を回復する上昇となっていることなどは、株価のプラス要因です。

 

ただ減産延長合意を先取りしての原油上昇ですので、5月25日(木)に合意が発表されるとセル・ザ・ファクトで反落する可能性も……。

WTI原油先物 日足
WTI原油先物 日足

(出所:Bloomberg)

■ユーロ/円は押し目買い、ドル/円は110円~113円のレンジ

それから、今朝はまた北朝鮮のミサイル発射がありました。下窓を開けて始まったものの、すぐに埋めましたね。

HFT(超高速取引)が反射的に売るのでしょうが、彼らは手仕舞いも早いため、反応は一時的となりやすい。


今週(5月22日~)、地政学リスクで気になるのは北朝鮮よりもトランプ米大統領のイスラエル訪問です。


アメリカは在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転する計画を持っており、イスラム諸国の反発を買っている。今回の訪問は大使館移転と関係ないと政府高官が発言していますが、火種であることは事実。

今週(5月22日~)の戦略はいかがですか?

ちょっと難しい週ですね。FRB高官の発言やユーロ/米ドルの1.13ドルに注目して様子を見たいと思います。


米ドル/円は1ドル=110円から113円程度のレンジでしょうか。マクロンラリーが急だったため、ユーロ/円はいったん調整があるかもしれません(※)。


しかし、テーパリングの話もあるため、調整する場面ではスウィング用の買いポジションを仕込んでいきたいと思います。

 

(※編集部注:本記事公開直後、ドイツのメルケル首相が「ユーロは弱すぎる」と発言しました。これを受けて、対談者の1人・西原氏より編集部に連絡があり、「メルケル首相の発言が出たため、ユーロ/米ドル、ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)の押し目は極めて限定的なものになるかもしれません」とのコメントが寄せられました)

(構成/ミドルマン・高城泰)

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