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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

セル・イン・メイで暴落イメージの5月だが、
なぜ、今年は上昇を警戒すべきなのか?

2017年05月01日(月)18:34公開 (2017年05月01日(月)18:34更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■北朝鮮のミサイル発射は失敗、影響はなさそう

4月からずっと意識されていた北朝鮮リスクですが、4月29日(土)に行われたミサイル発射は失敗に終わりました。今のところ、市場への影響もなさそうですね。

ミサイルをもっとも脅威に感じるはずの韓国では株価が上昇。4月末には史上最高値の更新が間近に迫るところまで上がりました。

KOSPI(韓国総合株価指数) 月足
KOSPI(韓国総合株価指数) 月足

(出所:Bloomberg)

在韓の米国人や日本人に対する、帰国命令や渡航禁止令なども出ていません。


日本株や米ドル/円は、北朝鮮リスクを意識しすぎていましたね

【参考記事】
米軍の北朝鮮攻撃はあるのか? ないのか? 元航空自衛隊空将が語る攻撃の前兆とは?(4月18日、織田邦男)

ただ、4月29日(日)には、フランス海軍の艦艇が佐世保港に入港。日米英仏での共同訓練を行うそうです。北朝鮮を背後で煽る存在としてロシアの影を指摘する人もいますし、安倍さんの力量が問われる局面が続きそうですね。


先週(4月24日~)、もうひとつのリスク要因だった米国の暫定予算期限切れですが、1週間分の暫定予算を可決して、政府機関の閉鎖は回避されました

米国では4月28日(金)に暫定予算の期限切れを迎えたが、1週間分の暫定予算が可決されて政府機関の閉鎖は回避された (C)Chip Somodevilla/Getty images

おそらく、これで危機は回避されたのでしょう。5月2日(火)はRBA(オーストラリア準備銀行)の理事会がありますが、政策変更はまったく織り込まれていません。


3日(水)深夜のFOMC(米連邦公開市場委員会)も、同じく政策変更はないはず。注目は6月の利上げについて強いコメントが出るかどうかです。

■今年も「セル・イン・メイ」は不発? アップサイドに警戒

4月5日(金)は米雇用統計ですね。前回のNFP(非農業部門雇用者数)は9.8万人増と、予想よりも大幅に悪い数字でしたが、要因は天候による一時的な落ち込み。今回は20万人近い増加が予想されています

よほどの数字でなければ、6月利上げが既定路線ですが、最近は経済指標よりもむしろ、FRB(米連邦準備制度理事会)関係者の発言が一気に風向きを変えるので、コメントに要注意ですね。

カレンダーは今日から5月。「セル・イン・メイ」(※)が意識されてきます

(※編集部注:「セル・イン・メイ」とは5月に市場が調整する傾向があるという、米株式市場の格言「Sell in May and go away」のこと)

セル・イン・メイは基本的に、3月、4月と上昇していた場合に当てはまるものだと思っています。

【参考記事】
ミサイル攻撃でも崩れなかった米ドル/円、マジノ線死守で市場の雰囲気変わるかも?(4月10日、西原宏一&大橋ひろこ)

昨年(2016年)は、3月から4月にかけて米ドル/円が114円から106円まで急落していたため、5月は上昇しました。


今年(2017年)も3月、4月に115円から108円まで売り込まれているため、むしろ、アップサイドリスクに警戒したほうがよさそうです。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足

(出所:Bloomberg)

■米10年債の大幅買い越しで米金利、米ドルは上昇へ

米国の株価指数S&P500で、空売り比率が約75%と高まっているそうです。


これだけショートが積み上がってしまうと下がりにくいですし、むしろ上がるのかなと思ってしまいますね。

同感ですね。米国の株式市場は高値警戒感がずっと続いているし、下落のシグナルが出ても、1日か2日程度落ちるだけですぐ反転しています。このままジリ高が続くのかもしれません。

驚いたのが、米10年債の投機筋ポジション。ついこのあいだ、売り越しが過去最高水準まで積み上がったのですが、足元では買い越しが9年ぶりの高水準なんです。将来的な米金利の上昇圧力となりそうですね。

米長期金利(米10年債利回り) 日足
米長期金利(米10年債利回り) 日足

(出所:Bloomberg)

おっしゃるとおりですね。ただ、先週(4月24日~)は対円だと米ドル高でしたが、ユーロ/米ドルが急騰。英ポンド/米ドルの上昇も続いています。


つまり、対ユーロや対ポンドでは米ドル安でした。

ユーロ/米ドル 4時間足
ユーロ/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足

英ポンド/米ドル 4時間足
英ポンド/米ドル 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足

米ドル高は対円のみだったため、クロス円のロングが効率的だったことになります。このまま、クロス円の上昇が続くには、ユーロ/米ドルが1.10ドルに乗ってほしいのですが、手前で足踏み中


アナリストの間ではユーロ上昇を予想する声が増えているのですが、1.09ドル台すら定着できない現状を見ると、懐疑的になってしまいます。

■節目超えれば、米ドル/円は115円が視野、押し目買いで!

英ポンドはどうですか?

英ポンド/円はまだ上昇余地がありそうですが、個人的にはすでに十分な利益が確保できていることから、メルマガ「FXトレード戦略指令!」で配信したとおり、いったん利益を確定しています。


押し目があれば再び買ってもいいかなと思いますが、今週(5月1日~)は、米金利の上昇期待で米ドル/円のロングでしょうか。

【参考記事】
110円台乗せの米ドル/円は底を打った? 非常に強いチャートの通貨ペアとは?(4月24日、西原宏一&大橋ひろこ)

米ドル/円はBrexit(英国のEU離脱)安値からのフィボナッチ50%押しで反転しました。次のターゲットは?

112.10円前後はトランプラリーの38.2%押しで、4月安値からの上昇トレンドで引いたフィボナッチ・エクスパンションの100%でもあります。2つの節目が重なる112.10円を抜けると、115円が見えてくる

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

英ポンドを横目に見ながら、今週(5月1日~)も米ドル/円の押し目を狙っていきたいと思います。

(構成/ミドルマン・高城泰)

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