■FXトレードを生中継するFX放送って知ってる?
あなたのFX情報源は? ブログ、ツイッター、メルマガ、テレビ、それに当サイト―― いろいろある中、意外と知られていない、だけど効果的なのが「FX放送」。
個人投資家が自分のトレードの様子や相場観、手法、それに視聴者との雑談などをライブで中継してくれる放送だ。
FX放送って何が魅力で、どんな効果があるのか、何に気をつけて利用すべきか――あなたの知らないFX放送の世界、案内してくれるのは「FX放送のおかげで勝てるようになった」と話す、たくしあげ所長さんだ。

■10万円から6億円へ駆け上がった生主も誕生
「FXを始めたのは2009年ごろ。株で勝てなかったからという安易な理由で始めたので、最初はFXでもまったく勝てませんでした。『俺たちは雰囲気で為替をやっている』という感じで(笑)」
ちょうどそのころ、あるサービスが始まった。ライブストリーミングの動画共有サービス「ニコニコ生放送」でのユーザー生放送だ。月額数百円の料金を払えば、一般ユーザーがライブ放送を配信できるサービスは当時としては画期的だった。

「私が放送を見始めたのが2009年中盤。わりとすぐにFX系の『生主』(放送を配信する人)が登場しました。いろんな雑談をしながら、チャンスが来ると『ここでL(ロング=買い)だ』と取引画面を見せながら生でトレードしてくれる。そんな様子を見ていました」
そんなニコ生のFX放送の存在感を一躍高めることになったのが、あるトレーダーの栄光と転落だ。
「『GFF』(ぐふふ)さんですね。10万円の証拠金をわずか2か月で6億円に増やし、その様子をニコ生で配信していました。当時、1000万円、2000万円クラスの生主は他にもいましたが、GFFさんは他の生主をはるかに凌駕する金額でした」
■たった1人のロスカットで相場が30銭も上昇!
そんなGFFさんを悲劇が襲う。
「ちょうど放送中のことでした。私も見ていましたが、GFFさんのポジションがロスカットされ、3億円の損失となったんです」
GFFさんが保有していたのは英ポンド/円の売り1万6000枚。当時のレートで金額にしておよそ、200億円分の取引になる。
「巨額のポジションを公開していたため、機関投資家に狙われたのでは?ともささやかれました。実際、GFFさんのロスカットで、英ポンド/円のレートが30pipsも跳ねました。その様子がロイターの記事になったほどです」

(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
このGFF事件もあって、FX放送の存在は少しずつ浸透していく。
「FX放送では、ポジション保有中の生主の不安な心理やロスカットされたときの心の叫びを生で聞くことができるんです。他人のトレードを生で見る機会って、ほぼ皆無ですよね。GMOクリック証券の『トレードアイランド』や、YJFX!の『ファイナンススタジアム』(※)はありますが、見られるのは結果だけ。FX放送ならトレード中の様子をメンタルも含めて、余すところなく、見ることができる」
(※編集部注:Yahoo!ファイナンスが提供していたYJFX!での取引成績を公開する「ファイナンススタジアム」は、本記事の取材後、2017年7月22日(土)にサービスが終了した)
■「これをやったら負ける」を生で学ぶことができた
含み損を抱えたときの不安、相場が急に動いたときの狼狽、ロスカットされて失った冷静さ――こうしたメンタルの動きによっても取引は大きく左右される。こうしたメンタルの揺れを追体験できるのが、FX放送ならではのメリットだ。
「やっぱり生主でも結果として負けちゃっている人が多いんです。それを見ながら、『こうやったら負けるのか』と、やってはいけないことを学んでいきました」
教科書で理論を読むのと、ナマのトレードを見るのでは実感の度合いが違う。実はGFF氏は、強制ロスカットの基準を勘違いしていて、含み損が2億円の時点で損失の確定を覚悟していたし、自分で損切りするチャンスは何度もあった。2億円の損失と3億円の損失は大きな違いだが、「ここまで来たら似たようなもの」と思って損切りできなくなってしまうのは、プロスペクト理論が示す典型的な展開だ。

■良さそうなやり方は検証した上で取り入れる
「FX放送で学び、自分の手法に直接取り入れているのはナンピンです。以前、ひたすら『マーチンゲール』でナンピンする生主がいて、毎月コンスタントに勝っていたんです。その放送を見たのがきっかけでした」
1枚で勝負し、負けたら次は2枚、また負けたら4枚、それでも負けたら8枚と、取引量を負けるごとに2倍にしていくのが「マーチンゲール」。連敗しても最後に1勝すれば勝てるとする、ギャンブル由来の資金管理法だ。
一見、無敵なようにも思えるが、10連敗、20連敗後の取引量が膨大になるため、無限に近い資金が必要となるのがワナ。最後の1敗が致命傷になる手法だ。
「自分でも勝てるかなと思って検証しましたが、結果はトントン。ただ、取引の履歴を詳しく見返すと、3回目までのナンピンはたしかに効果があった。4回以上はナンピンしても損失が膨らむだけ。そうやって確認してから、自分の手法にも取り入れるようになりました」
■FX放送を教科書に上達、億が目前に!
FX放送を教科書にして、スキルを高めていった、たくしあげ所長。現在はその名のとおり、億間近まで資産をたくしあげている。
「いろいろな生主の話を聞いて、とりあえず一度飲み込んでみる。自分に合わなかったら吐き出す、その繰り返しで自分なりのやり方が確立されていきました。
トレード時間もそうですね。ある生主が『ヤンキー時間(※)は難しい』と嘆いていんたです。『なら、やらなきゃいいのに』と思いながら、自分の取引データも検証してみたら、負けやすい時間があった」
(※編集部注:「ヤンキー時間」とは、NYの株式市場が開いている、日本時間の23時30分~翌6時までの時間帯。米国がサマータイムの期間は、22時30分~翌5時が該当する。ヤンキータイムとも呼ばれる)
そこで、たくしあげ所長は勝ちやすい時間、負けやすい時間の傾向に気がついてから、取引時間をグッと絞った。現在は朝9時から10時まで、15時半から18時まで、それに20時から22時30分までと、3つの時間帯だけで取引している。
「トレード中は、ほぼ確実にFX放送を流しています。FX放送は…
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