■対円、対米ドルともに200週移動平均線で止められたユーロ
ユーロ/米ドルやユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)には調整が入りそうですね。
先日の日経新聞には、「ミセスワタナベがユーロシフト ドルの魅力低下、ポンドも人気」との記事も出ていました。
個人投資家がユーロ買いにシフトしているとの分析です。こうした記事が出てくるようだと、ユーロの反落には警戒したほうがいいかなと思ってしまいますが……。
同感ですね。週足を見るとユーロ/円、ユーロ/米ドルは、ともに200週移動平均線に絡んだところで上昇を止められています。目先は調整がありそう。
【参考記事】
●ドラギ総裁は、ややハト派会見でもユーロの上昇トレンド不変! ユーロ/円は135円へ(7月27日、西原宏一)
しかし、そんなに深い調整になるイメージもなく、ユーロ/米ドルは週足レベルでの前回(2016年5月)高値1.1616ドルを割ることはないのかなと思います。
「初押しは買い」との格言もありますから、ユーロ/円とユーロ/米ドルが押したところは買っていいのでは。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
「大転換」ではなく、あくまでも短期的な転換の週というイメージですね。
■ユーロ/スイスフランに注目!
ユーロクロスで注目しているのがユーロ/スイスフラン。
2015年1月、SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])は1.20フランの防衛ラインを放棄、スイスフランが大暴落する「SNBショック」が起きました。
【参考記事】
●ユーロ/スイスフランが約3800pips大暴落! スイス中銀が防衛ラインの撤廃を発表!
背景にあったのはSNBショックの約1週間後に発表されたECB(欧州中央銀行)の金融緩和です。
事前にECBから耳打ちされていたSNBは1.20フランの防衛をあきらめました。
今後、ECBはテーパリング(※)により金融緩和を縮小させていくことになるため、SNBとしてはスイスフランを再び安くするチャンスだと考えているでしょう。
ユーロ/スイスフランは7月下旬からすでに500pips上がっていますが、まだ上がる余地はあると考えています。
(※編集部注:「テーパリング」とは、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/スイスフラン 週足)
これまでのスイスフラン買いから大転換が起こっているんですね。
中長期的には1.20フラン台への復帰もあるかなと思っています。
■ユーロの押し目は拾いたい
今週(8月7日~)の戦略は?
ひとつは米ドル/円の押し目買い。SQに向けて仕掛け的な売りで下げたところは買っていきたい。
ただ、今の米ドル/円には新鮮なテーマがありませんし、IMM(国際通貨先物市場)で円ショートが溜まっていることも気がかりです。
米ドル/円は、112.50円あたりを超えてこないと結局レンジなのかもしれないですね。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
今週(8月7日~)は10日(木)に米生産者物価指数(PPI)が、11日(金)には米消費者物価指数(CPI)の発表が控えています。
予想を上回る数字になり、またコーン議長が言及していたHIAへの期待が再燃するようなら米ドルが巻き戻す週になりそうですが…。
米ドル/円が堅調なら、米ドル/円そのものよりユーロ/円を買ったほうがいいかもしれないですね。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
ユーロは調整を挟みながらも上昇していくのでしょうし、米ドル/円が上がればクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)全般が上がりやすくなりますから、「終わってみればユーロ/円のパフォーマンスがいちばんよかった」ということになるかもしれない。
あとは先ほどお話したユーロ/スイスフラン。こちらも押し目があれば買っていきたいですね。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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